欧州のヘイトスピーチ問題はナチスドイツやユダヤ人差別、そして移民問題などがあって日本の事情とは大きく異なる。しかも、「心が傷ついた被害者がいるからヘイト」のような差別撤廃の乱発が起き、「ちょっと行き過ぎじゃない」なんて議論が起こっている。
そもそも国家が国民の言動に対して、「これはセーフで、こっちは相手が嫌がっているからアウト」なんて恣意的なジャッジをしていいのか、という大問題がある。特定秘密保護法案の時(2013年12月に公布)に「言論統制だ」「軍国主義だ」と大騒ぎしたリベラル知識人はぜひともこちらでもワーワーやって欲しい。
2011年12月に行われた抗議活動で、在特会と警察が衝突して現場が混乱するなかで、後退を決断した桜井氏(在特会の会長)は警官隊に向かってこのように叫んだ。
「下げることは下げるけど、君たちだってこうなった原因は最低限考えろ。外務省の前で、反日極左にやりたい放題やらせるからだろ! 警察もあっちを取り締まりなさいよ。だったら、私たちだってここまで来ないよ!」
「過激」と言われる人たちは生まれた時から「過激」なわけではない。「過激」になったのはそこに至るまでの事情がある。
民族や国籍で一括りにして罵(ののし)るようなことはよくない。差別のない社会をつくろう。そんなことは言われなくたってみんな分かっている。だからこそ、そのよくないものがここまで広まってしまっているというこの問題に対して、根本的な解決が求められているのではないのか。
彼らは一体何に「怒り」を感じているのか。なぜ過激にならざるをえなかったのか。その背景を正しく理解している日本人は恐らく非常に少ない。テレビや新聞がこの現象を、「戦時中のような排外主義」としか報じないからだ。
規制だなんだという前に、まずはそのあたりをはっきりとさせたうえで、もっとオープンに議論をすべきではないのか。
「差別主義者とは話さない」では、なんの解決にもならないんじゃないでしょうかね、橋下さん。
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