高松: 2つあって、1つは「味」ですね。「本格的なエスプレッソ」というコンセプトはいいのですが、本格的すぎると一部の人にしかウケないかもしれません。一方、多くの人にウケるような商品になると、本格的な味が失われるかもしれません。なので、どこにターゲットを置くか。ターゲットの幅をどのくらいにするか。これを決めることによって、味が変わってくるので、ターゲットと味のバランスをとることが難しかったですね。
もう1つは、「泡立ち」ですね。この商品の最大の特徴は、音が静まるまで缶を振ると、淹れたてのような泡立ちを楽しめることができること。この泡立ちをどのようしたら上手につくることができるのか。このことに苦労しました。開発担当者だけでなく、さまざまな関係者のアイデアによって、泡が立ちやすい容器を完成させることができました。
また、缶コーヒーに対して「マンネリ化している」「どれも変わらない」といった印象を持たれている人も多いのではないでしょうか。従来のような缶コーヒーでは、その魅力を伝えることが難しいので「振って泡立てる」という商品にしました。
土肥: 缶コーヒーに高価格・高付加価値の商品が増えてきていますが、このプレミアム市場の動きについてどのように見られていますか?
高松: 2012年に「ダイドーブレンド」というブランドを立ち上げて、より本格的な味を追求していく方針を打ち出しました。その昔、缶コーヒーといえば「CMのイメージだけで決まる」などと言われていました。弊社としては“おもしろくないこと”だったわけですが、そうしたときでもコーヒー豆にこだわり、味の良さを打ち出すことで、市場の活性化を図ってきました。
そして、コンビニのカウンターコーヒーがヒットしたことで、ようやく“潮目”が変わってきたかなあと。競合他社はプレミアム商品を投入してきていますし、消費者の本物志向の動きがうかがえます。いま、缶コーヒーメーカーに求められているのは、カウンターコーヒーよりもおいしい商品を提供することではないでしょうか。
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