缶コーヒー市場に“2つの潮流”――ダイドードリンコの高松社長に聞く仕事をしたら“缶コーヒー”ができた(2/6 ページ)

» 2014年11月04日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

「ボトル缶が売れている」と分析

ダイドードリンコの高松富也社長

土肥: コーヒーの飲用シーンが多様化していますよね。その昔、外出先では喫茶店か自販機くらいしかコーヒーを飲むことができなかったのですが、今は違う。街中のカフェチェーンで本格的な味を楽しむことができ、ファストフードで低価格で気軽に楽しむことができる。こうした動きを見ていると「コーヒー市場って拡大しているのね」と思いきや、数字を見ていると、横ばいが続いています。

高松: ご指摘のとおり、いろいろな動きがありましたが、コーヒー市場全体でみると、拡大はしていません。しかし2013年、コンビニのカウンターコーヒーが大ヒットしたことで、業界は大きな影響を受けました。その中で最も影響を受けたのが、缶コーヒーを扱うわれわれのような会社でした。

 コンビニの棚をご覧いただければ分かると思いますが、缶コーヒーの数が少なくなりました。メーカーが絞られ、種類が絞られ……その一方で、コンビニのPB商品が増えている。こうした流れにどのように対抗すればいいのか。缶コーヒーを扱う会社が苦戦する中で、弊社はさまざまな手を打ってきました。

土肥: 具体的にはどんなことを行ってきたのでしょうか?

高松: カウンターコーヒーが登場したことで、コンビニでの缶コーヒーの売り上げが減少しました。内訳をみると、特に落ち込んでいるのが、従来からあるプルトップ缶(つまみを引き起こしてふたを開ける方式)。一方、キャップが付いているボトル缶の売り上げは伸びているんですよ。

土肥: ほほー、それはなぜですか?

高松: コンビニのカウンターコーヒーを買って、その場で飲む人は少ないですよね。カップを持ち運んでクルマの中で飲んだり、オフィスの中で飲む人が多いのではないでしょうか。いまの消費者は“コーヒーを持ち運びたい”と思っていて、そのニーズとうまく合致して「ボトル缶が売れている」と分析しています。

 また、コンビニの店内に入ると、コーヒーのにおいが漂ってきますよね。カウンターコーヒーが支持されている理由は、淹(い)れたてで手軽に本格的なコーヒーを飲めること。ということは、いまの時代、消費者はより本格的な味を求めているのではないでしょうか。

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