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» 2014年10月29日 08時00分 UPDATE

外食産業の識者に聞く:コロワイドの「かっぱ寿司」買収に学ぶ低価格路線の限界

「牛角」などをチェーン展開するコロワイドが、「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトHDに仕掛けた企業買収。これをきっかけに外食産業の業界再編が大きく進む可能性もある。

[伏見学,Business Media 誠]

 外食産業に業界再編の動きあり――。

 焼肉チェーン「牛角」や居酒屋「甘太郎」などを運営する外食大手のコロワイドが、回転ずし「かっぱ寿司」を展開するカッパ・クリエイトホールディングス(HD)を買収すると発表した。

 10月27日に行われた同社取締役会において、カッパ・クリエイトHDの普通株式を公開買い付けするとともに、第三者割当増資にも応じると決議。株式の過半数を取得して連結子会社にする予定だ。買収総額は300億円程度になる見込みだという。

 コロワイドの2014年3月期の連結売上高は1484億4300万円。カッパ・クリエイトHDの買収によってグループ全体の売上高は単純合算で2400億円を超え、「すき家」などを運営するゼンショーホールディングス、「ガスト」などを運営するすかいらーくに次いで外食業界3位に躍り出る。先ごろ通期の連結売上高を2210億円に下方修正した日本マクドナルドホールディングスを追い抜く形となった。

肉と鮮魚の両輪

 今回の買収を専門家はどう見るか。戦略コンサルティング会社のローランド・ベルガーで、流通や小売業界などを支援する渡部高士プリンシパルは、「事業ポートフォリオの拡大が狙い」と分析する。

コロワイドは「鮮魚」を事業ポートフォリオに加えた(写真はイメージ) コロワイドは「鮮魚」を事業ポートフォリオに加えた(写真はイメージ)

 これまでコロワイドは「肉類」を中心とするレストラン業態の比率が高かったが、かっぱ寿司を取り込むことで新たに「鮮魚」をポートフォリオに加えることができる。これによって、より幅広い顧客層にアプローチすることが可能になる。

 一方で、渡部氏は「このタイミングでの買収は遅いのでは」とも指摘する。かつては“100円均一”という低価格でかっぱ寿司は消費者を引き付けてきたが、その戦略は限界を迎えつつある。

 競合に当たる「あきんどスシロー」は品質の高さをアピールし、「無添くら寿司」は化学調味料や人工保存料などを食材に使わないという安心・安全をウリにしている。「そうした中、単に値段が安いというだけではもはや強みにならない」と渡部氏は述べる。当然、かっぱ寿司もさまざまな手を打ち、例えば、一皿100円以下のすしを提供するというさらなる低価格化などを模索したが、近年は業績不振にあえいでいる。

変化する消費者ニーズをとらまえよ

外食に対する消費者の志向が今後ますます多様化していく(写真と本文は関係ありません) 外食に対する消費者の志向が今後ますます多様化していく(写真と本文は関係ありません)

 こうした低価格競争の激化は、回転ずし業界だけでなく外食産業全体に波及しており、各社ともしのぎを削っている状況だ。「低価格路線での勝負は、企業にとってますます厳しいものになるだろう」と渡部氏は強調する。加えて、中食市場の拡大や人件費の高騰などによって、外食産業の売り上げは伸び悩んでいる。生き残りをかけて今回のような企業買収、業界再編が今後も続くと見られている。

 その中で、渡部氏は「顧客からの収益の最大化」が重要なポイントになると指摘。外食に対する消費者の志向が、今までのように低価格中心ではなく、レストランを利用シーンによって使い分け、価格帯・料理ともに幅広い選択を行う傾向が加速化しているという。

 例えば、ある調査では、お祝いごとなど「ハレの日」の外食には、客単価4000〜5000円のレストランを利用する一方で、遊園地など休日のレジャー帰りには、安価な回転寿司を利用する消費者が増えているそうだ。

 「そうした中、顧客からの収益を最大化するために必要なレストランのポートフォリオはますます拡大しており、外食産業において再編の可能性は高まっていると言えるだろう」(渡部氏)

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