女性が管理職になれない、極めてシンプルな理由サカタカツミ「新しい会社のオキテ」(2/3 ページ)

» 2014年10月20日 08時23分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]

女性は管理職になる前提で雇用されていない?

 「採用・配置・昇進とポジティブ・アクションに関する調査」<速報版>(参照リンク)には、気になる数字がピックアップされ、紹介されています。例えば、「2014年春卒業の新規学卒採用者の女性の割合」というデータ。

2014年春卒業の新規学卒採用者の女性の割合(出典:労働政策研究・研修機構 / 採用・配置・昇進とポジティブ・アクションに関する調査<速報版>)

 まず、企業が新卒を採用する割合が、女性は男性を下回っています。さらにこの調査を見ると、管理職以上への登用の途が広く開かれている採用区分、つまり総合職で女性を雇用している企業は、100人以上の企業で4割弱、それ以下だと3割程度しかありません。

 そもそも入り口からすでに女性は男性と比較して少なく採用されている。しかも、管理職にするという前提で採用されていない女性が、いまだに一定数いるということです。「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」、通称「男女雇用機会均等法」ができて、約30年という年月が流れました。緩やかには改善されているものの、実態は2014年の新卒採用時点でもなお、これだけの男女「区別」がされているのです。

管理職としての教育をしてこなかった

 さらに興味深いデータがあります。係長職以上に相当する役職に女性がついている割合が低い企業に、その理由を質問した結果です。

女性の割合が30%未満の役職がある理由(出典:労働政策研究・研修機構 / 採用・配置・昇進とポジティブ・アクションに関する調査<速報版>)

 「取引先や顧客が管理職として女性を希望しない」という回答が存在することにも驚きますが(少数ですが)、それ以上に注目したいのは、「管理職世代の女性(管理職登用の可能性のある職種)の配置・育成が同世代の男性と異なっており、必要な知識・経験・判断力を有する女性が育っていない」という回答が上位にあることでしょう。

 入り口で男女の比率に差がある採用をしている、さらに入り口の時点で「管理職にしない」という前提で採用されている(もちろん、自ら希望してそれを選んだ女性がいることは承知しています)、さらに実際に管理職になる教育もしていないため、

 「残念なことに、管理職に配置する人間として、女性の中に適材がいないのです」

 という、この記事の冒頭で紹介した人事担当者の言葉になるのです。当然の結果といえばその通りなのですが、女性には管理職としてふさわしい人材がいない、ということではなく、構造的に「そうなってしまっている」可能性があることを、このデータは示しています。

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