光回線がダウンした場合、ルータは自動的にすぐにバックアップ回線に切り替える。貨物輸送もそうありたい。東海道本線がダウンしたら、数時間後には別ルートで同じ輸送量を確保する準備がほしい。今回の対処にはJR貨物だけではなく、荷主との間に入った通運会社もかなり尽力してトラックを確保しただろうと思う。JR貨物も通運会社も涙ぐましい努力があったはずだ。そして、当初予定していた20日よりも4日も早く、10月16日に復旧できた。現地の作業に当たった人に、どれだけ多くの人が感謝していることか。
しかし、災害があった。大変だった。復旧した。乗り越えた。よかったよかった。で終わってはいけない。今回の災害は、いや、過去の不通区間もそうだが、これを教訓に、鉄道貨物輸送の二重化について「JR貨物と線路を保有するJR各社は真剣に検討すべき」だ。災害だから仕方ないではない。災害は起きる。これを前提に、先手を打たなくてはいけない。
コンピュータ機器は壊れる。だからそれを前提にシステムを設計する。しかし線路はめったに壊れない? そんな保証はない。災害だけではなく、設備の老朽化によって線路が壊れる要因は増えている。ましてや東海道本線は大地震が予測されている地域を走っている。御嶽山の噴火の例もある。富士山がいつまでも沈黙しているとは限らない。
この機会に、JR貨物は輸送ルートの二重化に真剣に取り組み、情報を公開し、荷主にきちんと説明すべきだ。折しもトラックドライバー不足で鉄道貨物が注目されている。こんな大事な時に、この事故で「鉄道貨物は二重化対策ができていませんでした」と見せてしまった。この失点はすぐに取り戻さなくてはいけない。
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