「テレワーク」に「IoE」、生活とビジネスを大きく変える“次の”ITトレンドシスコ戦略発表会(1/2 ページ)

» 2014年10月02日 20時30分 公開
[池田憲弘,Business Media 誠]

 インターネットの普及とともに、“場所を選ばない”働き方に注目が集まっている。フリーランスなど会社に属さずに仕事をする人々が増えたほか、一般的な企業においても、自宅で育児や介護をしながら仕事をするケースも多くなってきているためだ。

 政府も“場所を選ばない”働き方、いわゆる「テレワーク(情報通信技術を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方)」を推進している。2013年6月に発表した「世界最先端IT国家創造宣言」(参照リンク、PDF)で「2020年までに、週1回以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数を全労働者数の10%以上とする」という目標を宣言しているのだ。

 こうした流れもあり、テレワークを導入する企業や行政機関が増えてきた。つい先日も、佐賀県庁が約4000人の職員全員に、在宅勤務・サテライト勤務・モバイルワークに対応したテレワークシステムを導入した(関連記事)。職員のワークライフバランスの実現や、災害時における業務継続性向上が目的という。

 また、テレワークは働き方の選択肢を広げるだけでなく、「スタッフの生産性向上」「コスト削減」「迅速な意思決定」「業務の効率化」「社員間のコラボレーション促進」といった効果も見込める。政府がテレワークを推奨する企業向けに、助成金を用意していることもあり、今後テレワークが急速に普及していく可能性は高い。

自らが「テレワーク」の先進企業に

photo シスコシステムズ 代表執行役員社長 平井康文氏

 一方、テレワークシステムを提供するITベンダー側は、この変化を大きなビジネスチャンスと捉えているようだ。コンピュータネットワーク機器大手のシスコシステムズ(以下、シスコ)は10月2日、2015年度の事業戦略を発表し、自社サービスで日本のワークスタイル革新を進めていく考えを示した。

 シスコは約1300人の社員全員が、日常的にテレワークを実践しており、自社で取り組んだワークスタイル変革の成果を、顧客に提供しているという。「私自身も最近はPCを持ち歩かなくなった」と社長の平井康文氏は話す。同社はスマートフォンやタブレットで使える業務アプリも開発しており、スマートデバイス活用も進んでいるそうだ。

 直近では、ビデオ会議にも注力しているという。2014年7月には、ビデオ会議デバイス「DXシリーズ」と「Cisco Collaboration Meeting Rooms(Cisco CMR)」と呼ばれるビデオ会議サービスを発売した。DXシリーズは小型ディスプレイのような形状で、各個人のデスクに置くことを想定している。“いつでも誰とでもWeb上で会議できる”という新しい働き方を促進するアイテムだ。

 会場では、DXシリーズなどを使ったビデオ会議のデモが行われていた。DXシリーズはタッチ操作に対応しており、直感的な操作で簡単に使えるところは好感が持てる。画面の解像度とカメラの解像度がともに高く、DXシリーズ同士を接続したビデオ会議では、鮮明な映像が滑らかに動いていて驚いた。

photo シスコのビデオ会議ソリューション「Cisco CMR」。専用デバイスのほか、タブレットやノートPCでも手軽にWeb会議ができるソリューションだ

 平井社長は「従来、会社でビデオ会議を導入するとなると、役員室や会議室に専用端末を置いて、少人数会議の共有などに使われていたと思う。これからは、1人1台ビデオ会議システムを持つ時代になる」と話し、営業部門の社員全員にDXシリーズを展開したことをアピールした。

 同社は2014年に1月に、日本テレワーク協会が主催する「テレワーク推進賞」の会長賞を受賞している。こうした企業の特性を生かした社会貢献は、同社の戦略の柱を担っている。「多様な働き方の実現という社会課題に対し、自らが先進事例となり続けることで、それを実現していくロールモデルとなる」(平井社長)。

photophoto シスコが考える日本の市場環境(左)。シスコの2015年度のビジョンと戦略。すべてのモノをネットワークにつなぎ、生活やビジネスを変えることを目標に「Advance Japan!」というコンセプトを掲げている(右)
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