“イケてない企業”が陥りがちな、2つのワナ世界で売れてる、日本発のヒット商品(5/5 ページ)

» 2014年10月01日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
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お客さんはニーズに気づいていないことも

永井: もちろんたくさんあります。例えば、とある鶏肉加工工場では、鶏肉の骨を外す工程があるのですが、以前は手作業で行っていました。これを見ていた東京にある前川製作所の営業マンが「非効率ではないですか?」と指摘していたのですが、熟練作業員たちは「私たちはずっと前からこの方法でやっている。だから、他の方法は考えられない。考えること自体、バカげている」と言っていました。

 それでもこの営業マンはあきらめず、会社に戻って鶏肉加工工場の現場で起きていることを議論するんです。作業をもっと効率的にできるのではないか、といった内容ですね。その結果、前川製作所は自動脱骨ロボット「トリダス」を開発しました。骨付きの鶏肉を機械に入れるだけで、骨と肉を分離してくれるんですよ。人による作業よりも4倍ものスピードでできるので、効率がいいですよね。「バカげている」と言っていた熟練作業員は、トリダスの試作機を見るなり、「こういう機械がほしかったんだ」と言ったそうです。その後、この機械はヒットして、10カ国で650台も納入しました。

 つまり、お客さんというのはニーズに気づいていなことがよくあるんです。そういうニーズに対して、応えることが大切。すべての人にトリダスの機械はいりません。企業はターゲットを決めて、その人たちが気づいていない課題を見つけ出し、それを解決するモノを提供していかなければいけません。

土肥: それができなければ?

永井: 価値を上げることができないわけなので、価格を下げるしかないですね。なぜ価格を下げるかというと、日本企業はお客さんのいいなりになっているから。

土肥: ここで、再び三波さんの考え方が登場。

永井: お客さまは神様なので、安いモノを提供しなければいけない、という考え方ですね。そうではなく、お客さまは神様なので、最高のモノを届けなければいけません。

土肥: 海外だけでなく、国内でもウケている商品を提供している企業は「水道哲学」にとらわれることなく、お客さんの言いなりになることなく、「フレームワーク」をしっかり考えて、実践しているということですね。本日はありがとうございました。



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