土肥: 次に、(2)その強みを必要するお客さんは誰でしょうか?
永井: ユニ・チャームは2000年ごろからアジア市場1位を目指して、海外展開を続けてきました。インドネシアでは高所得層に受け入れられていましたが、シェア1位を獲得するためにはそれだけでは不十分。そこで、人口の大多数を占める中低所得層の人たちにいかに使ってもらえるかを考えました。
土肥: (3)お客さんは何を必要としているのでしょうか?
永井: 先ほど申し上げたとおり、ユニ・チャームはそれまで、インドネシアで高品質・高価格のプレミアム商品を販売していました。しかし、プレミアム商品は平均年収の5倍程度の高所得層しか使っていなくて、紙オムツの使用率は30%にとどまっていました。
土肥: 中低所得層が購入できる紙オムツがなかったわけですね。
永井: はい。またインドネシアでは、自宅の床でオムツを履かせるのが難しい。清潔な場所が少ないので、新生児から布パンツを履かせる習慣があるんですよ。なので、お母さんは1日に何度も布パンツを交換して洗っていました。重労働ですよね。
土肥: 確かに。では、最後に(4)お客さんが自社を選ぶために、どのようなことをしたのでしょうか?
永井: ユニ・チャームは「高品質のパンツ型紙オムツを低価格で提供すればいい」と考えました。
土肥: ちょっと待ってください。高品質と低価格って、矛盾しませんか。
永井: マーケティング担当者がインドネシアの一般家庭を200軒、汗だくになって調査しました。その結果、必要な機能を見極めて、尿が漏れないという基本機能以外は簡略化したパンツ型オムツ「マミーポコパンツ スタンダー」を開発して、パンツ型として相場の半額1900ルピア(19円)で発売しました。
土肥: それが大ヒットした?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング