インタビュー
» 2014年09月24日 08時00分 UPDATE

仕事をしたら“葬儀を安く”できた(後編):どんな人が向いているの? 葬儀会社で働く人が感じる壁 (1/5)

数年前に映画『おくりびと』がヒットしたが、葬儀会社で働くのにはどんな人が向いているのだろうか。葬儀業界で40年近く働いているティアの冨安社長に話を聞いた。

[土肥義則,Business Media 誠]

仕事をしたら“葬儀を安く”できた:

 斎場費用、火葬費、霊柩車運転手代、お坊さんへのお布施――。葬儀費用って、一体どのくらいかかるのか?

 不透明な葬儀業界において、明朗会計で料金をガラス張りにした会社がある。それは、愛知県名古屋市に本社を置く「ティア」。

 葬儀費用の明細をみると、祭壇や会館使用料はもちろんのこと、ドライアイス、送迎バス、拾骨セット、司会進行、消臭・防腐剤なども記載されている。また、入会金1万円で会員になると(年会費、月々の掛金なし)、110万円のお葬式のコースが約半額の57万円に。中部地方の平均葬儀費用は188万円だが、ティアは約70万円も安い119万円となっている。

 葬儀業界の市場規模は2014年で約1兆9000億円規模になると見込まれ、今後も高齢者の増加とともに2040年まで安定成長が見込まれている(矢野経済研究所「葬儀ビジネス市場に関する調査結果 2010」より)。ただ、核家族化の増加や地域社会の希薄化などを背景に、葬儀の縮小化や家族葬の増加、葬儀そのものを行わない直葬が増えつつある。

 葬儀件数は増えていくが、平均単価は下落が続いている――。こうした環境の中、17年前に創業したティアの葬儀件数は伸びていて、年間6000件を突破。また、売上高も伸びていて、90億円を超える勢いだ。

 葬儀費用が安いから、消費者から支持されているのか。それとも明朗会計だから、安心して葬儀を任せられるのか。業績が伸びている背景について、37年前に“おくりびと”になった同社の冨安徳久社長に話をうかがった。聞き手は、Business Media 誠の土肥義則。

 →葬儀代を明朗会計にした会社――すぐに“嫌がらせ”をされた(前編)

 →本記事、後編


冨安徳久氏のプロフィール:

 1960年、愛知県宝飯郡一宮(現:豊川市)で生まれる。1979年、大学の入学式直前、葬儀のアルバイトに感動して、18歳で葬儀業界に入る。生活者保護の葬儀を切り捨てる会社の方針に納得できず、独立を目指す。

 1997年、株式会社ティアを設立。葬儀費用を開示して、業界で話題に。2006年、名証セントレックスに上場。中部圏初の葬祭上場企業になる。2008年、名証2部へ市場を変更。2013年、東京証券取引所2部に上場。2014年、東証1部、名証1部に上場。

 2014年7月現在、直営店・FC店合わせて72店舗、会員数は約22万人。


何のためにこの仕事をやるのか

yd_tear1.jpg ティアの冨安徳久社長

土肥: ティアの営業マンは、自宅訪問をされていますよね。チラシを持って「生前見積もりをしませんか?」「会員になれば、葬儀代が安くなりますよ」などと話されている。知らない営業マンがいきなり自宅にやって来て「葬儀の準備をしませんか?」と言われたらびっくりすると思うんですよ。中には、怒り出す人もいるのではないでしょうか。「お前は、失礼なことを言いやがって」といった感じで。

 営業マンが実際に自宅訪問されている映像を見たのですが、正直に言って「自分はやっていく自信がない」と感じました。どんな仕事にも向き不向きがありますが、葬儀業界で働くにはどんなタイプの人が向いているのでしょうか?

冨安: 「死」というのは、誰もが一度は通る道。であれば、誰かがそのお手伝いをしなければいけません。単に数字を追いかけて営業をするのではなく、「何のためにこの仕事をするのか」「誰のためにこの仕事をするのか」ということを考えてもらい、会社の理念を伝えるようにしています。

土肥: ということは、社員教育はきちんと行っている?

冨安: その部分をおろそかにしていてはダメ。営業は数字だけを追いかけていては、つらくなるだけ。繰り返しになりますが、「何のためにこの仕事をやるのか」を理解していれば、人は動くことができるんですよね。

土肥: どのような教育をされているのですか?

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