本田: ポイントとしては「排除しない」も挙げられます。10億人という途方もない人数を動かすには、性別や年齢、地理的な制約、資産といった選別を発生させてはいけない。
田端: ターゲティングから始まるのは同じだとしても、その後、不必要なラベリングをどう避けるかが勝負といったところはありますよね。
本田: 提供するモノやサービス自体にある種の寛容さがないと、10億人規模までは育たない。
田端: ユーザーに、どうやって心理的抵抗感を持たせないかが重要ですね。LINEの場合でいうと、「女子高生のコミュニケーションツールでしょ?」を脱却できたあたりから、成長速度がグンと上がった印象があります。
本田: あとこれはLINEだけではないのですが、急成長するサービスでは、運営側の社員1人あたりのユーザー数が多いのも共通しています。LINEの社員数も1000人に満たない。
田端: 「WhatsApp(ワッツアップ)」(※4)にしろ、「Instagram(インスタグラム)」(※5)にしろ、ここ数年で急成長している企業を見ると、社員数に対するユーザー数のレバレッジが効いているほうが、成功しやすいという傾向がありそうです。
本田: 10億人を動かすにあたって、もはや企業規模は必須条件ではない。「10億人を動かせるのは巨大企業」という前提自体が幻想になりつつあるんですね。
田端: むしろ、顧客との真摯な向き合い方などは、最初に取り上げた1000人規模の原点に返っていく印象すらありますね。
本田: 核となる1000人をしっかり動かすことが、10億人を動かすことにつながる。逆に言えば1000人を動かすことがすべての基本で……。
田端: 1000人すら動かせないサービスだとしたら、明らかに施策をまちがえたか、サービス自体が世に不要なものと考えてもいいかもしれません。
本田: そのとおりですね。
田端: ああっ! なんだか本田さんに言わされたような!
(終わり)
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