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» 2014年09月09日 08時00分 UPDATE

博報堂生活総研・吉川昌孝の「常識の変わり目」:10軒に1軒以上が「空き家」──空き家率の上昇は、いいこと? 悪いこと? (1/2)

「昔はこうだったのに」──。これまでの常識とは違うことが常識になりつつあると感じる事象はありませんか。データで読み解くと、常識の変わり目が見えてきます。今回は、13.5%に達した空き家から「新しい住まい方」の変わり目を探ります。

[吉川昌孝(博報堂生活総研),Business Media 誠]

博報堂生活総研・吉川昌孝の「常識の変わり目」

30年以上にわたり生活者を研究し続けてきた「博報堂生活総合研究所(生活総研)」。同研究所の主席研究員である吉川昌孝氏が、さまざまなデータを独自の視点で分析し「常識の変わり目」を可視化していくコラムです。世の中の変化をつかみたいビジネスパーソンに新たなモノの見方を提供します。


 日本の空き家率は「13.5%」(総務省 平成25年住宅・土地統計調査より)です。1998年に10%を初めて超えてから年々増えており、過去最高を記録しました。空き家数は820万戸(総住宅数は6063万戸)に上ります。世帯数に対し、総居住(住宅)数が上回っていることを示しています。

photo 「空き家率と新しい住まい方」の変わり目

 本格的な人口減少が始まった2014年現在、標準世帯から単独世帯(ひとり暮らし)に世帯タイプの主流が移っています。つまり世帯数は増加しているのに、住宅数の増加はそれ以上の勢いということになります。

 空き家は、高度経済成長期以来の急激な都市への人口移動と人口集中の傾向の中で「都市部の新規住宅が堅調に伸びていること」と、「都市へ人口が移動した後に放置される地方の住宅が空き家として残ること」から生まれます。

 特に山梨県、長野県の空き家率は20%近くと高い数値です。都市部へ人が移動して空き家が増えたことに加えて、経済成長期に別荘として建てられた家屋(二次的住宅:別荘など、普段は人が住んでいない住宅)が、経済の停滞でそのまま取り壊されずに空き家化したためです。

 人口が集中する都市部も安泰ではありません。高齢化が本格化すると、標準世帯から単独世帯へ移っていきます。今ある住宅と、今後求められる住宅のタイプは一致しなくなることが予想されます。郊外の一戸建て、郊外ベッドタウンの大型マンションなど、標準世帯を想定して建てられた住宅とそこに住んでいた家族が、子ども世代の独立や、親の高齢化で単独化し、生活と住居タイプが一致しなくなります。さらに空き家化は進むでしょう。

 こうした空き家率の増加は、日本人の生活スタイルの変化に住宅のタイプが追いつけないことが大きな原因のようです。ただその一方で、こうした空き家を再利用して新たな住スタイルを模索する動きも高まっています。

photo (画像はイメージです)
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