田端: 10万人なら、なんとか個人の力で動かせるかなあ。
本田: 強烈なインパクトを放つリーダーがいれば、10万人は動きそう。バルス祭りの場合は、作品がリーダー役だったのかな。
田端: モチベーターが外部にいるパターンですね。
本田: 参加者も「自分以外に主役がいる」ことが分かっている。
田端: バルス祭りは、“人の顔”はさほど見えないですよね。だけど、作品世界のことを知っている人はたくさんいる。
本田: 祭り自体にリーダーはいないけど、『天空の城ラピュタ』という作品がその代わりの役割を果たしている。作品自体の知名度に加えて、祭りが繰り返される過程で「バルス」という呪文自体が拡散していって、わらわらと野次馬的に人が集まってきた。
田端: Twitterを通じて「バルス」と唱えることで、祭りに参加しているわけだ。「バルス!」でラピュタが崩れるように、サーバーもダウンする相似がまた、得も言われぬ快感をもたらすんだろうなあ。ユーザーが盛り上がるのはいいことだけど、そこまでの負荷となるとTwitter社もいい迷惑(笑)
本田: 日本の携帯会社だったら、正月に帯域制限をかけるように「やめてください」とか言いそう。
田端: それどころか、ツイート数をカウントして発表までしちゃう。ある種の共犯関係だよね。世界記録の達成に参加しているというのも、動機の1つになってるんじゃないかな。
本田: 10万人規模になると、参加者同士の顔はぼんやりとしか見えないから一体感は薄くなるけど、その代わりに世界の一部になることができたという実感は得られるのかも。
田端: 1万人だと「大好きな本に呼ばれてしまった」とかいう“俺物語”を思い描けるけど、このサイズになると、柱となる物語の筋は自分以外の誰かが作ってくれている。
田端: バルス祭りは、誰にも頼まれていない(笑)。Twitterで他人が楽しそうに参加しているのを横目で見ることによって、あるいはメディアに取り上げられた情報を見て、祭りの存在を知り、勝手に参画してくる。
本田: 「可視化」も重要なキーワードになりそうですね。
田端: 情報を拡散するにあたって具体的な数字を発表するのもそうでしょうし、つながりを目に見える形で示すのも有効ですね。いったんコミュニティに巻き込んでしまえば、その後はさほど強くアプローチしなくても、自発的に行動してくれます。
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