日本のプロ野球や米メジャーリーグを中心としたスポーツ界の裏ネタ取材を得意とするライター。WBCや五輪、サッカーW杯など数々の国際大会での取材経験も豊富。
サッカーJ1の横浜F・マリノスでサポーターがらみの人種差別問題が勃発したのは、残念極まりない。
事の起こりは2014年8月23日の横浜F・マリノス―川崎フロンターレ戦。ニッパツ三ツ沢球技場のスタンドにいた男性ファンが、ピッチ上のレナト選手(川崎FW=ブラジル)を挑発するようにバナナを振りかざした。この問題に対するクラブ側の対処は素早かった。リアルタイムで動画がアップされて波紋を呼び起こしていることに気付いたマリノス関係者が男性ファンを試合当日に事情聴取。後日、無期限入場禁止処分を言い渡した。Jリーグもマリノスへ罰金500万円を課し、騒動は一応の沈静化をみた。
とはいえ、Jリーグでの人種差別問題は今年に入って2度も表面化している。3月8日に埼玉スタジアムで行われた浦和レッズ―サガン鳥栖戦では浦和の一部サポーターが「JAPANESE ONLY(日本人以外お断り)」と書かれた人種差別の横断幕を掲げ、観客から指摘を受けながらも試合終了まで放置したとして浦和に史上初の無観客試合の処分が科されたばかり。
ここ最近、日本では「ヘイトスピーチ」が社会問題となっているが、大々的に「反差別」を憲章としているはずのJリーグにまで排他的ムードが押し寄せてきてしまっているのは由々しき事態といえる。
ちなみに先に触れたようにバナナを振ったり、あるいはピッチに投げ入れたりするなどの行為は「お前はサルより下劣だぞ」という意味で人種差別の常とう手段。許しがたい蛮行だ。これまでも欧州各国のプロサッカーリーグではバナナによる黒人選手らへの差別行為が頻発している。日本のプロスポーツ界も欧米のようにボーダーレスとなって多民族化や多人種化が今や当たり前となったが、こういった負の側面までもが“輸入”されてしまうのは強い憤りを覚える。
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