万引きだけではない! 今、コンビニで起きている“問題”ご一緒に“おでん”いかがですか(1/5 ページ)

» 2014年09月02日 00時01分 公開
[川乃もりや,Business Media 誠]

著者プロフィール・川乃もりや:

 コンビニ本部で社員をして10年余り、いわゆるスーパーバイザーなるものを経験し、何を思ったか、独立オーナーに転身した。齢40にして、自分の仕事についての足跡を残したくなり、Webサイト「コンビニ手稿」と、誠ブログ「とあるコンビニオーナーの経営談議を始める。

 旅行とお酒が大好きだが、コンビニ経営をしていると、なかなか旅行に行く時間がとれない。その一方で、アルコールの量は増えるばかり。


ご一緒に“おでん”いかがですか:

 多くの人が一度は利用したことがある「コンビニ」。決して大きなスペースではないが、そこで何が起きているのだろうか。陳列台にはたくさんの商品が並んでいるが、何が売れているのか、またなぜ売れているのか。コンビニの現在と過去を紐解きながら、ちょっとした“謎”に迫っていく。

 筆者は大手コンビニの本部社員として活躍し、現在では店舗を構えるオーナー。コンビニの表と裏を見てきた者だけにしか書けないコラムはいかがですか?


 防犯ビデオに映った万引き犯の画像を公開するぞ――というショッキングなニュースがあった(「万引き」という言葉は嫌いだが、今回は便宜上使用する)。結局は公開せず(逮捕後は公開された)、容疑者はあえなく逮捕。犯人と思われる男性の画像を公開したら「逆に名誉棄損で訴えられる」などと言われていたが、もし公開したらどうなっていたのだろうか。例えば、マスコミはどう報じたのか。一般の人たちはどのように受け止めたのか。本当に万引きの抑止力として効果はあったのか。

 そんな疑問は分からないままドタバタ騒動は終結。普段から万引きなどさまざまな犯罪行為に悩まされているコンビニにとって、この問題は他人事ではない。今回は、コンビニの店舗で起きている犯罪行為について紹介しよう。

万引き犯は「成人」が多い

 警察庁が発表している「平成25年の犯罪情勢(PDF)」によると、万引き犯の検挙数は8万5464件。認知件数は12万6500件なので、検挙率としては67.6%となる。筆者は事件に関する専門家ではないので、検挙率が高いかどうかは分からない。しかし、警察が認知した件数のほとんどは、万引きの被害を受けた店からの通報によるものだろう。

(出典:平成25年の犯罪情勢)
(出典:犯罪白書平成25年)

 警察は「検挙数」などと偉そうに発表しているが、そのほとんどが店による現行犯逮捕によるもの。「万引き=現行犯逮捕じゃないとダメ」と思われている人も多いかもしれないが、冒頭で紹介したケースのように、警察がちゃんと動けば、現行犯でなくても逮捕はできる。

 現在の防犯カメラの性能は素晴らしく、レジでやりとりされるお札の柄までしっかりと認識できる。当然、人の顔の認識は可能であり、万引きをする瞬間と犯人の顔さえ映っていれば完璧な証拠となる。万引き犯は“逃げたら勝ち”などと思わないほうがいい。

 万引きはどういった人たちが行っているのか。多くの人は「若者」「学生」を想像するかもしれないが、現実は違う。万引き犯の80%以上は「成人」。この数字を知ると、「いい大人がなぜ万引きなんてするんだろう?」と思われるかもしれないが、この発想に根深い問題が潜んでいると思っている。

 子どものころに万引きをした→しかし、大きな問題にならずに済んだ→だから、大人になっても万引きを軽くみる。こうした流れがあるのではないだろうか。

 警察庁の発表(平成25年)によると、万引きによる少年の検挙数は1万6741件。しかし、実際に少年犯罪として捕まるのは5058件である。ということは、70%ほどの少年は万引きを犯しても、親からゲンコツをもらって終わりなのだ。いや、今の時代、ゲンコツすらもらうことなく、大人になっているのかもしれない。

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