日本企業の弱点は何だ? 生き残るには「デジタルマーケティング」を知り、生かすべし松岡功の時事日想(3/3 ページ)

» 2014年08月27日 08時00分 公開
[松岡功,Business Media 誠]
前のページへ 1|2|3       

デジタルマーケティングは、「日本企業の弱点をカバー」する施策

 クラウドを活用し、デジタルマーケティングの機能を統合化したプラットフォームには、オラクルのほか、日本アイ・ビー・エム(以下、IBM)、アドビシステムズ、セールスフォース・ドットコムがグローバルで展開する大規模ITベンダーとして名が挙がる。企業向けシステム最大手のIBMは「IBM Marketing Center」を、デザイナーやクリエイターから強い支持のあるアドビシステムズは「Adobe Marketing Cloud」を、CRM(顧客情報管理)をベースとしたクラウドサービス専業最大手のセールスフォース・ドットコムは「Salesforce ExactTarget Marketing Cloud」と呼ぶクラウド型マーケティングプラットフォームをそれぞれ提供している。

 今後はIT業界での競争もさることながら、さまざまなマーケティング関連企業との合従連衡(がっしょうれんこう)の動きも活発化する。デジタルマーケティング市場がさらなる進化を遂げていくのは間違いない。

 最後に、それを実際に使う一般ビジネスパーソンの視点で記しておきたいこと。それは、こうした新たなマーケティングツールを「日本の企業がどう活用していくか」だ。日本オラクルの杉原社長は、先の会見でこう締めくくった。

 「日本経済の今後を考えると、これから少子高齢化が進む中で、いかに労働人口の生産性を向上させていくかが成長のカギを握る。生産性を向上させるには、例えば日本が得意とする“高品質なモノづくりを生かす”インテリジェントなマーケティングにもっと力を入れるべきではないか。しかもそれを国内だけでなくグローバルに発信していっていただきたい。私どもはそうした日本の企業を強力に支援していきたい」

 筆者も同感だ。日本の製造業は長らく「いいモノはつくるが、マーケティングが弱い」と言われ続けてきた。そんな日本の企業にとって、デジタルマーケティングはその弱点をカバーする絶好のチャンスである。

 もちろん、投資効果を見極める必要はある。ただ、デジタルマーケティングは、例えば前述した4社のプラットフォームにおいても、まずは小さく始めつつ、徐々に広げていくことができる。「デジタルマーケティングは、もはやマーケティングの一部ではない」──マーケティングそのものがデジタル化していくこと。この意味を、経営層やIT専任者はもちろんだが、一般業務部門のビジネスパーソンもしっかりと認識し、まずどう活用するかという考察を、そしてアクションを自身からも起こしてほしい。


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.