現在のおサイフケータイに採用されているモバイルFeliCa ICチップは第2世代。フェリカネットワークスは2014年夏から、第3世代のモバイルFeiCa ICチップの量産を開始する。
新しいチップは、4.5ミリメートル角で厚さ0.9ミリメートル。第2世代に比べ面積比40%小型化した。1チップでFeliCaのほかにNFCもサポート、クレジットカードの標準仕様であるEMV仕様にも準拠する。
ポイントは「日本でも世界でも使えるチップ」という点だ。これまで海外製のNFC対応スマートフォンは、日本のおサイフケータイ用サービスを利用できなかった。この第3世代チップはNFC標準規格に準拠しているため、このチップを内蔵した携帯電話であれば、海外で増えているNFC系サービスにも、海外のFeliCaサービスにも対応できる。
海外でのFeliCaサービスというと、香港の公共交通機関などで使われている「オクトパス(八達通)カード」が有名だ。こちらでは2013年10月から、FeliCaチップを内蔵しないスマートフォンのSIMスロットに、オクトパスアプリを導入したNFC SIM(後述)を差し込むことによって、スマートフォンでオクトパスを利用可能にするという試験運用を行っている。今後、第3世代のモバイルFeliCa ICチップを採用するスマートフォンが増えてくれば、こういったサービスを国境を越えて使えるようになる可能性が高い。
iPhoneやXperia、Nexus、Galaxyなど、スマートフォンはグローバルモデルが世界各国で販売されることが多い。モバイルFeliCaが搭載されていないスマートフォンで、おサイフケータイのサービスが利用できるようにするためのソリューションがいくつか展示されていた。
「モバイルFeliCaセキュアエレメント」という名称で展示されていたのは、SIMカードやmicroSDカードの中にFeliCaの機能を入れたもの。iPhoneやNexusといった、グローバルで展開するスマートフォンへ、日本でしか使えないモバイルFeliCaチップを組み込むのは市場規模を考えると難しい。iPhoneがおサイフケータイ非対応なのもこれが理由だ。しかしモバイルFeliCaセキュアエレメントは、そういったスマートフォンでも、通信キャリアがおサイフケータイ化を望めばサービスを提供できるようにする仕組みだ。SIMカード、SDカードなど形式はさまざまで、さまざまなスマートフォンに対応できるようになっている。
おサイフケータイ非対応のスマートフォンでも、microSDスロットがあれば、FeliCa対応microSDを入れることでおサイフケータイ化できる。iPhoneの場合も、SIMカードスロットは当然だがある。ここにFeliCa対応のSIMカードを入れ、通信キャリアが対応すればおサイフケータイのサービスが利用できるようになる……というイメージだ。実際に香港ではこれを使い、XperiaにFeliCa対応SIMカードを挿すことによりオクトパスカードと同じように使えるようになるサービスを展開中。おサイフケータイ非対応でも、「スマホをかざして電車に乗る」が実現できている。
利用例は非常に少ないが、おサイフケータイにはFeliCaのリーダー/ライターとして使えるという機能がある。おサイフケータイをFeliCaチップやカードにかざすことで読み取りができるのだ。
→「箱根かざしてゲット!」は、おサイフケータイの“最新”サービス(後編)
フェリカネットワークスでは、NFC対応スマートフォンを、FeliCaのリーダー/ライターとして利用できるSIMカードを開発している。FeliCaを使ったサービスを展開する場合に、NFCスマートフォンを利用すれば、リーダー/ライターを購入しなくてもよいというのがメリットだという。
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