1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』、『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。 日本全国列車旅、達人のとっておき33選』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP。
2014年8月19日、JR東日本が休止貨物線を再利用した新路線(以下「羽田アクセス線」と呼ぶ)の概要を正式に発表した。東京貨物ターミナルから羽田空港まで新しいトンネルを掘るという。これには心底から驚いた。これは再利用どころか、本気の新線計画だ。
JR東日本の羽田アクセス線構想は、当初より「貨物線の有効活用」が前提と思われた。だから鉄道ファンだけではなく、この計画に関心を持つ多くの人々は「東京貨物ターミナルから既存の東海道貨物支線のトンネルを使い、天空橋付近で分岐して国際線ターミナル、国内線ターミナルへ向かう」と予想していた。建設コストを考えれば、新規のトンネルは短い方がいい。
しかし、この予想には心配もあった。既存の貨物列車との兼ね合いだ。東京貨物ターミナルから羽田空港島を通り、川崎貨物ターミナルまでの路線は「東海道本線の貨物支線」である。「2014JR貨物時刻表(鉄道貨物協会刊)」によると、日中の運行本数は少ないとはいえ、05時台~08時台は上り11本、20時~23時台は下り12本の長距離貨物列車が設定されている。これは定期列車のみだから、臨時便も含めるとさらに増える。
貨物列車は旅客列車に比べれば少ない数とはいえ、長距離列車であること、事故などで運行を再開するときの優先順位が低いことから、遅延が起きやすい。羽田空港の便を考えると国際線の深夜出発便、早朝到着便の接続列車の時間帯に貨物列車が集中する。ダイヤが乱れやすいから、貨物列車と旅客列車はそれぞれ専用の線路を使いたい。この懸念に対する回答が「旅客線用のトンネルを掘る」だった。貨物列車には触らない。実に明快だ。
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