人類最大の罪は「農業」? 日本人の人口減少問題を考える仕事をしたら“動物”のことが分かってきた(中編)(3/6 ページ)

» 2014年08月14日 08時05分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

人口は増え、農地は拡大

竹内: はい。学校の授業では「1万年前のメソポタミア文明のときに、大規模な灌漑(かんがい)農業を始めた」と教えてもらいましたよね。でも、考えてみればこれはおかしい。いきなりそんな大規模な農業を始めることはできません。メソポタミア文明の数万年前に、われわれの祖先が家庭菜園のようなものを始めて、徐々に本格的になっていったはずです。

 農業の技術を身につけた私たちの祖先は、中東から欧州、アジアへ。その後、ベーリング陸橋(氷河期に現在のアラスカとシベリアの間に存在した地峡)を越えて、アメリカ大陸に。また、太平洋の島々やオーストラリア大陸にも渡っていきました。もちろん、現地に農業の技術を持ち込みました。

土肥: 農業の技術を持ち込んだことで、どのようなことが起きたのでしょうか?

竹内: 祖先が移動したことで、たくさんの動物が絶滅しました。例えば、オーストラリア大陸には4万年前くらいに渡ったのですが、大型動物が13種絶滅しました。農業の技術を持った人間が移動すると、その移動先でどんどん動物をとって、絶滅に追い込んでいった。それが私たちの歴史なんですよ。

土肥: もちろん「農業がすべて悪い」ということでなく、農業によって祖先の思考が変わり、行動も変わったわけですね。

竹内: 農業を始めたら食べ物に余裕が出てくるので、人口が増える。人口が増えると、その人たちを養っていくために、さらに大きな農地が必要になる。そうすると、また人口が増えて、さらに大きな農地……といった感じで、人口はどんどん増え、農地もどんどん拡大していきました。

農業を始めたことによって人口が増えて、その人たちの食料を確保するために農地が拡大してきた

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.