なぜ世の中に悪い人は少なく、いい人が多いのか仕事をしたら“動物”のことが分かってきた(前編)(6/8 ページ)

» 2014年08月13日 08時13分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

竹内: 著書『騙し合いの法則 生き抜くための自己防衛術』でも紹介しましたが、ケンブリッジ大学(英国)のM・A・エルガーは建物の屋上に1.2メートル四方のエサ場を作りました。このエサ場で、4種類のエサを与え、最初にエサを見つけたスズメがどんな反応を示すのか調べました。

(1)食パン一片(3グラム)

(2)食パン一片(12グラム)

(3)食パン3グラムをバラバラにほぐしたもの

(4)鳥のエサ用の種子(ヒエやアワのような小さな粒)

土肥: で、どういう結果になったのですか?

竹内: (1)の3グラムのエサに気づいたスズメは、1分間に平均7回鳴きました。(2)の12グラムのエサには平均8回、(3)のバラバラにしたものには平均17回、(4)の種子には平均27回でした。

 エサが塊になっているときには、仲間を呼んでもそれに近づけるのは数羽。分け合って食べることが難しいので、あまり鳴かずにエサを独占しようとする。このときには、敵にやられる可能性が高いので、スズメはそのリスクを承知の上でエサを食べている。一方、エサが小さいときには仲間を呼んでもエサを分かち合える。だから、よく「チュンチュン」鳴く。

 スズメは集団でいると、誰かが警戒しているので、自分が敵にやられる確率も下がる。なので「チュンチュン」と鳴いて、仲間を呼んだほうが得策なんですよね。

土肥: ということは、「ここにたくさんのエサがあるよ。みんなで一緒に食べようよー」という親切心ではない?

竹内: 「譲り合いの精神」「思いやり」「親切心」といったものではありません。単なる「自己防衛術」です。一羽一羽が警戒することで、誰もがトクする仕組みなんですよ。

スズメはエサの大きさによって「チュンチュン」と鳴く回数が違う

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