何が変わる? iBeacon対応の「近未来レストラン」へ行ってみた新・O2Oマーケティングの期待と課題(2/3 ページ)

» 2014年08月11日 21時33分 公開
[太田百合子,Business Media 誠]

「ITをレストランへ積極的に導入する」と何が変わるのか

photo 「TRATTORIA TRINITA(トラットリア・トリニータ)」(埼玉県新座市)

 このBeaconシステム含め、「ITをレストランへ積極的に導入する」と何が変わるのか。こんな意欲的な店舗が先日開店した。イタリアンレストラン「TRATTORIA TRINITA(トラットリア・トリニータ)」(埼玉県新座市)で、近未来のレストランを姿を体験してみよう。

 TRATTORIA TRINITAは、iPhoneアクセサリの販売など手がけるトリニティが2014年6月、自社ビルの1階にオープンさせた店だ。落ち着いた内装で、おいしそうな雰囲気が漂う店内に、iPhoneやiPad、Beaconシステム、クラウド連携モバイルレジなど、これまでの飲食店に導入する機器とは少し違うIT機器やシステムを取り入れた。

 例えば、iPadとクラウドを使った予約管理システム(トレタ)、iPod touchやiPhoneで操作できるオーダーシステム(Waiter)、iPadがPOSレジになる会計システム(スマレジ)、クレジットカード決済システム(Square)、iPadで見る電子メニュー、iPhoneで操作する照明コントロールシステム(Philips hue)など。これらと合わせて「iBeacon」を用いる新たな集客システムも導入する。


photo 落ち着いた雰囲気の店内。IT武装だからといって、ステレオタイプに“ITっぽい”わけではない
photo 電子版メニューはiPadで。スタッフはiPhone/iPod touchで操作する「Waiter」と呼ぶシステムでオーダーをとる

 新たな集客システムとは何か。まずは来店前の予約までさかのぼろう。店にスマホでネット予約を入れると、URLが記載されたメールが送られてくる。飛び先はiOSの「Passbook」機能へ登録できる同店のドリンククーポン配布ページ。これを来店前にPassbookへ登録しておく。店に近づくと、クーポンが利用可能であることがスマホに自動で通知される。注文時にこれを提示すると、ドリンク1杯が無料になる。まずはこのような流れだ。

 初回のクーポンは、まずは来店意欲がある人への追加サービスとなる。店に着いて「そうだクーポンがあったんだった」と気がつき、少し得した気分が味わえた。Beaconシステムは、店員が店頭でクーポンやチラシを配布するように、近くにあるスマホへ自動配布する仕組みも作れる。ただ、不特定多数では人は不快に思うだろう。

 このため、クーポンの自動配布は2回目の来店より行うようにした。「あの店は、クーポンで得できるからまた来よう」という、リピート客=ファン確保の大きな動機付けになる。ネット予約やクーポン配布の類いこそ珍しくはないが、iOSに標準で備わるPassbook機能とiBeacon機能を活用して「クーポン配布・管理と自動通知」を組み合わせて、客の「行こうという意欲」を高めるのが狙いだ。

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