「ショップ・イン・ショップ」って何? 日本でタブレットを訴求、サムスン電子が取り入れた手法「GALAXY SHOP」で直販の動きを推進(2/3 ページ)

» 2014年08月04日 16時00分 公開
[岩城俊介,Business Media 誠]

サムスン電子がハイエンドタブレット「GALAXY Tab S」を投入、GALAXY SHOPを起点に販売

 サムスン電子ジャパンは8月1日、Androidタブレットの最上位機種「GALAXY Tab S」を発売した。8.4インチと10.5インチ、ニーズに応じた2種類のサイズを用意し、同じくサイズ別にラインアップするアップル「iPad」シリーズに対抗する。

photo GALAXY Tab S
photo 会場は「見たままの表示を実現できる」とうたうGALASY Tab Sのスーパー有機ELディスプレイの表示性能をピーアールすべく、バーグマンさんがアレンジした生花で彩られた

 テーマはプレミアム。“液晶を超える”とうたう表示の美しさを実現するスーパー有機ELディスプレイ(どちらも2560×1600ピクセル)、極限まで軽く(8.4インチ:約294グラム、10.5インチ:約465グラム)、薄く(どちらも厚さ6.6ミリ)したデザイン、オクタ(8)コアCPUによる高い処理応力や利便性、長時間のバッテリー動作時間など、“すべてに最高を求めた”仕様に仕立てた。

 価格は8.4インチモデルが4万4800円(税抜、以下同)、10.5インチモデルが5万9800円。いずれもWi-Fiモデルで、通信事業者(NTTドコモなど)を経由しない自社ブランドの製品として顧客(一般コンシューマー)へ販売する。商品の機能や魅力ポイントの詳細はITmedia Mobileの記事が詳しいので併読してほしい。

photo 高解像度ディスプレイとオクタコアプロセッサの性能を生かし、2つのアプリを同時に操作できる「マルチウインドウ」機能を備える

 さて、GALAXYブランドの商品は、スマートフォンや一部タブレットなど3G/LTEの通信機能を内蔵した製品(以下、回線モデル)として、これまでも通信事業者より販売されていた。ドコモの2013年夏モデルでは主力商材のツートップに位置付けられるなど、スマートフォンブランドとして認知度はある。

 ユーザーからは同じGALAXYシリーズとして見える。ただ、メーカーとしては、顧客が個人か法人(通信事業者)かの違いがある。最近は認知度のあるブランドを──例えばスマートフォン「GALAXY S4」のようにブランド名が商品名に付き、商品紹介や記事などでもサムスン電子製の〜〜などと併記される。が、あくまで商品は通信事業者のもの。キャリア端末(回線モデル)は、正解には製造メーカーの商品ではない。製造メーカーは通信事業者へ製品を納入する立場であり、商品名も正確には「GALAXY S4 SC-04E」(NTTドコモの場合)だったりする。

 回線モデルでないWi-Fiタブレットは、その通信事業者の販路ではなく、(一部例外はあるが)ソニー「Xperia Tablet」や富士通「ARROWS Tab」、アップル「iPad」などもWi-Fiモデルは自社ブランドの商品として、自社の販路で販売している。サムスン電子もGALAXY Tab SのWi-Fiモデルについては、改めて“サムスン電子の自社ブランド商品”として販売していく構えとしたわけだ。

photo GALAXYスマートフォンとWi-Fi Direct機能で連携し、タブレットの画面内で「スマホを操作(アプリやデータの参照、スマホ内にある写真の参照など)」「スマホにかかってきた電話を取る」といったこともできる
photo サムスン電子ジャパンの石井圭介専務

 その背景に「国内タブレット市場の変化」がある。MM総研調べによる2014年のタブレット出荷台数は前年比16.8%増の882万台、市場も3390億円規模に成長すると見込まれている。また、回線モデルが基本となるスマートフォンと違い、タブレットはWi-Fiモデルも需要がある。2013年のWi-Fiモデルは前年比106%増(504万台)と大幅に拡大したうえ、2014年は全体の64.3%(567万台)をWi-Fiモデルが占めると予測されている。

 タブレットの用途も、ユーザーの67%がWebサイト表示、66%が動画視聴、50%がSNSやメールを挙げるように、コンテンツを見る(消費する)ための機器として、個人用途ではPCからタブレットへの移行が進んでいる。こちらは、どう使う機器か、どう使える機器か、どう使い分ける機器かという利用シーンが浸透してきたことを示すもの。LTE通信機能を備え、その通信を共有できるスマートフォンと併用するシーンも一般的になり、LTE通信機能を省く分(端末価格もデータ通信コストも)低価格。Wi-Fiモデルの需要増はこんな日本市場の状況が背景にあると同社は考えた。

 「2013年のタブレット日本市場は、台数ベースで前年比75%増ほど成長した。グローバルは同67%だったので、日本市場は特に成長したことになる。続く2014年は、グローバルと同様に16.8%増ほどと安定成長の傾向。使い方や広がりをお客様が理解してきつつある時期だと想定する。このため日本市場では、高付加価値のプレミアムモデルから自社でブランドや商品のよさをしっかり伝える方法で取り組みたい。価格競争に陥らず、きちんと新しい市場をつくり、市場を拡大したい。ゆくゆくはIoT時代を見据えた活動にもつなげるのも狙い」(サムスン電子ジャパンの石井圭介専務)

photo 2014年のタブレット出荷台数は前年比16.8%増の882万台、市場も3390億円規模に成長すると見込まれ、2014年は全体の64.3%(567万台)をWi-Fiモデルが占めると予測されている

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