夫婦が家族をもう1人増やせない……「2人めの壁」について考える少子化問題(2/2 ページ)

» 2014年07月30日 07時00分 公開
[青山祐輔,Business Media 誠]
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夫婦間の子どもの数を増やすにはどうしたら?

 とはいえ、夫婦間の子どもの数が減っているのも現実だ。完結出生児数(一組の夫婦が最終的に何人子どもを作ったか)を見ると、1970年代以降ずっと2.0〜2.2程度だったのが、2010年には1.96と2を割っている。子どもがいない、子どもはいるが一人っ子という家庭が増える半面、3人以上の子どもがいる夫婦は減っているためだ。

一組の夫婦が作る子どもの数は減少傾向にある(出典:国立社会保障・人口問題研究所)
育児をする父親を支援するNPO法人「ファザーリング・ジャパン」代表理事の安藤哲也氏

 日本社会全体の傾向として未婚化・晩婚化が進み、女性の初産の年齢が上がっていく。夫婦以外からほとんど子どもは生まれないという現状の中で子どもを増やしていくには、未婚化を解消するとともに、夫婦が育てる子どもの数を増やしていく以外に方法はない。「ふたりめの壁」は少子化問題に直結しているのだ。

 安藤哲也氏からは、「かつての日本男性は育児をしなくて良かった。しかし、今は経済的な理由から共働きしないとやっていけない」という労働環境の変化が指摘された。その一方で、知人の女性が「夫がまったく家事や子育てを手伝わないので、2人目は絶対に産まない」と言ったというエピソードを紹介しつつ、父親向けの育休制度などの環境整備も少しずつ進んでいるにもかかわらず変わらない男性の意識が、女性の「第2子出産への意志」を削ぎ、また結婚への失望につながっていると苦言を呈した。


 「少子化」の問題は、掘り下げていくと「非婚化」「晩婚化」にもつながっている。またその背景には「収入の減少」という所得再分配の問題、母子家庭・父子家庭という家族の形態についての問題、養子縁組についての意識など、多様な問題も絡んでくる。より有効な施策を見つけ、実現するために「1 more Baby応援団」のさらなる活動に期待したい。

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