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» 2014年07月28日 11時00分 UPDATE

半径300メートルのIT:これも立派なパスワード管理――「ミルパス」を使ってみた

かつて流行した住所録付きカード型電卓のような不思議なパスワードマネージャーを使ってみました。いまどきに逆行して「ネットワークに接続できない」のが特徴です。

[宮田健,Business Media 誠]

著者紹介:宮田健(みやた・たけし)

元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。アイティメディアのONETOPIでは「ディズニー」や「博物館/美術館」などのキュレーターをこなしつつ、自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め日々試行錯誤中。


 先日、誠編集部に遊びに行ってみると「こないだ開催された国際文具・紙製品展で、面白そうなパスワード管理ツールを見つけたんだけど、使ってみます?」と声をかけられました。パスワードマネージャーを電卓のような機器で実現したキングジムの「ミルパス」です。

 手に取った感じは、1980年代に流行した住所録機能付きのカード型電卓といったところ。内蔵された小さなスタイラスペンでポチポチとID/パスワードを記録していきます。基本的にはネットと連携せず、このデバイス単体での使用を想定しています(PCと連携する機能は用意されています)。

ミルパス ミルパス

 借りておきながらなんですが、最初の感想は「これスマホのパスワード管理アプリでいいよね」「単体で入力するのは面倒だからPCにつなぐか」「うーん、私には不要かな……」でした。

こんなのいらないと感じるか、残された人への救世主と感じるか

 キングジムというと、筆者個人はキーボード付きのメモデバイス「ポメラ」を思い出します(筆者も何台か買いました)。最近も不思議な製品をいくつも出しているようで、デジタル名刺ホルダー「PITREC」や、ある世代以上なら分かる“名刺くるくる”のデジタル版「メックル」など、ビジネスシーンで使えそうな製品も展開しています。

 しかし、これらの製品、スマホで実現できるものがほとんどです。例えば、名刺管理は今やスマホのカメラで撮影すると自動的にOCRまで行われるアプリやサービスがいくつも存在しますので、わざわさ個別の製品を買うまでもないという人も多いのではないでしょうか。

 とはいえ、キングジムの発想自体は評価すべき点が多いと思います。PITRECもメックルもミルパスも、製品名やその形だけで「おっ」と思うような世代をターゲットにしているわけです。名前や見た目で機能まで想像できる製品はさすがです。

 パスワード管理の啓蒙記事では、「PCにふせんでパスワードを貼り付ける」「パスワードを手帳に書く」のはダメな例として挙げられます。かつては物理的にパスワードをのぞき見されることが多かったのですが、最近ではネットワーク越しにパスワードを盗まれる例が増えています。パスワードの使いまわしをせずに、難しいパスワード(強いパスワード)を作ってメモする方が、個人的には何の管理もしないよりはいいと思います。

 「もうちょっと安心できるようにしたい、でもスマホアプリやサービスを使いこなす自信がない」という層には、ミルパスは立派な解決策になります。その点では、とっても面白いデバイスです。

 その昔、アップルが作るコンピューターには「For the Rest of Us」というキャッチコピーが使われていました。パスワード管理においては、いまだ「残された人たち」が多く存在します。ITに詳しい人からすると不便に見えるデバイスですが、こういうアプローチも重要ですね。

 ITと人との距離をより近くするのは、PCやスマホ、タブレットの延長ではなく「文房具」にあるのかもしれません。

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