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» 2014年07月25日 08時00分 UPDATE

数字のオモテとウラを学ぶコラム:USJで学ぶ、今さら聞けない「株式上場」の話 (1/4)

USJを運営しているユー・エス・ジェイが、「株式の再上場を検討している」というニュースがありました。ユー・エス・ジェイはなぜ株式を再上場しようと考えているのでしょうか。「株式上場」の基本的な話を紹介しましょう。

[眞山徳人,Business Media 誠]

数字のオモテとウラを学ぶコラム:

 企業のWebサイトを見てみると、プレスリリースのほかにも、決算情報や月ごとの業績資料など、参考になる情報がたくさん眠っています。主にマスコミや専門家向けに公開されているものですが、実はビジネスパーソンにとってもためになる資料なのです。「企業→マスコミ→自分」という情報の流れのほかに、「企業→自分」という情報の流れを持つことは、スピード感が求められる今のビジネス社会では、大きな“武器”になるでしょう。

 この連載では、企業が発表するプレスリリースや決算短信などを題材に「なぜこのような発表が行われるのか?」「この発表の舞台裏では何が起こっているのか?」「今後、この企業はどうなるのか?」という疑問に対して、著者がときに答え、ときに推測します。


著者プロフィール・眞山徳人:

 公認会計士。大手監査法人にて、監査業務のほか、管理会計の導入から経営ビジョンの策定にいたるまで、さまざまな種類のコンサルティング業務に従事。また、大学や大学院でのインターンシップ研修の運営や各種企業研修での講師も担当。

 難しい会計やビジネスの世界を分かりやすくひも解き、「中学生でも分かるように」説明することを信条としており、書籍や雑誌でも物語や漫画などの形式で会計の仕組みを解説している。座右の銘は「できるときに、できることを、できるだけ」。誠ブログ「公認会計士まーやんの『ロジカるつぼ』」を連載中。


 いよいよ夏休みがスタートしました。世の中のお父さん、お母さんは子どもたちのために一生懸命お出かけの計画を立てていることと思いますが、この夏の国内観光スポットとして今おそらくもっとも注目を集めているのが「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ)ではないでしょうか。

 7月15日に新しいアトラクション「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」が稼働を始め、子どもたちだけでなく、たくさんの人たちの注目を集めています。USJは、一時期不調が続いていましたが、昨年度の観客動員数が1000万人を超え、少しずつテーマパークとして不動の地位を確立しようとしています。新アトラクションを擁(よう)し、おそらく観客動員数は過去最高を記録することでしょう。

 そんな中、USJを経営している株式会社ユー・エス・ジェイが、「株式の再上場を検討している」というニュースが、7月9日の日経新聞で報じられました。ユー・エス・ジェイといえば、2007年に一度株式を上場したものの、経営不振などを理由に2009年に上場廃止を行った経緯がありますが、改めて株式上場を目指そうとしている、ということなのでしょうか。

 今回は、このユー・エス・ジェイを題材にして、そもそも「会社は誰のものなのか?」ということをおさらいしながら、株式上場というのがどういう意味を持つのか、そして、ユー・エス・ジェイがどうして株式を再上場しようとしているのかを、考えていきたいと思います。

会社って、誰のものなの?

 「会社は誰のものか?」という問いに対する答えはさまざまだと思います。ある人は「従業員のものだ」と考えているかもしれませんし、ある人は「カネを貸している銀行のものだ」と考えているかもしれません。ただ、法律上は答えは明確です。株式会社の場合、その会社の所有者は「株主」です。

 株式会社というのは、会社を皆で共同所有するために、その所有者としての地位を「株式」として分割することで、多額の資金調達を可能にした形態、なのです。そして、その株式を保有している人が「株主」であり、彼らが会社の持ち主ということになるわけです。

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 ユー・エス・ジェイの場合、株式は約200万株に分割されていますが、その株式をもっとも多く保有している株主(筆頭株主)が「有限会社クレインホールディングス」。クレイン社は、証券会社であるゴールドマンサックスが保有している子会社ですから、実質的に、ユー・エス・ジェイの筆頭株主はゴールドマンサックスということになります。

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