米国のオバマ大統領は、この問題について7月21日に声明を発表し、ロシアは親ロシア派住民に影響力を行使して、撃墜事件の真相究明に協力しなければならないと述べた。ちょうど時間にCNNはウクライナのポロシェンコ大統領にインタビューしていたが、その中でポロシェンコ大統領は「彼ら(親ロシア派住民)を分離派と呼ぶな。あいつらはテロリストだ」と強調している。
そこに気になるニュースが入ってきた。インターファクス通信がウクライナ政府スポークスマンの情報として報じたところによると、7月21日、ロシア軍は黒海北部、クリミア半島東側のアゾフ海に機雷を敷設し、国境に兵を集結させているというのだ。さらにロシア軍の一団が国境を越えようとして、ウクライナ軍に阻止されたとの情報もある。
一時、ロシア軍は4万とも言われる大軍を国境線に集結させてウクライナに圧力をかけていたが、大統領選のあたりから兵を引かせていた。それが再び集結しているというのである。もちろん親ロシア派住民に紛れ込んでいる特殊部隊はいるだろうが、それは本格的な侵攻とは別の話だ。
もしマレーシア機事件の調査を妨害するような形でロシア軍がウクライナに侵攻したりすれば、それは国際的に大きなショックになるだろう。ダウ平均株価の史上最高値にわくウォール街は、今朝の段階ではウクライナの事件も、ガザにおけるイスラエル軍の侵攻も気にしなかったが、ロシア正規軍の侵攻という話になればショックが走る。
このショックを最初に受けるのは、経済の足元が弱いEUだ。現在、ECB(欧州中央銀行)が懸命に経済を支えているが、7月上旬にポルトガルの大手銀行(BES)に不安が走って、株価を大きく下げた。これは、日本のバブル崩壊後に起きた状況と似ている。銀行の“不良債権問題”がくすぶっていることを示すものだ。
ゴルバチョフ元ソ連大統領は、NHKのインタビューに答えて「ウクライナ危機はロシアと欧米で素早く火を消さないと大変なことになる」と警告していた(参照リンク)。しかし、一発のミサイルが事態をますます難しいものにした。しばらくはこの危機が拡大するのかしないのか、注意しておかねばいけないだろう。
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