「かめはめ波」って撃てるの?女性脳と男性脳の論理(1/3 ページ)

» 2014年07月24日 07時00分 公開
[溜田信,GLOBIS.JP]

 今回は女性目線で、男性のこんなところが不思議でならないのでは、という謎をテーマにしてみたい。

 きっかけは、グロービス経営大学院の学生数人と食事した際に出てきた、こんな会話だ。

女性A: うちの弟って変なの。“かめはめ波が出ない”って悩んでいるんだよ。

男性A: えっ、でも、かめはめ波は出せるよ。出ないのは、ただ修行が足りないだけ。自分も、かめはめ波は出せないけど、風くらいなら起こせるかも。

男性B: うん。自分も、その弟さんの気持ちは分かる。

男性C: 僕も出せるんじゃないかと思って、練習したことがあるよ。

女性一同: ????

 この会話、女性読者の過半はおそらく疑問符だらけになっていると思うが、多くの男性読者は、間違いなく、うなずいてくれると思う。

 「確かに、自分もかめはめ波は撃てると思う。修行さえきちんとすれば……」

か・め・は・め・波――っつ!

 「というか、そもそもかめはめ波って何?」という女性読者のために、念のため説明すると、これは少年漫画『ドラゴンボール』シリーズに出てくる主人公・孫悟空の必殺技だ。一応の説としては、体内の潜在エネルギーを一気に放出させる技で、「気」の一種ということになっている。もちろん、いまだ誰もその存在を証明したものはない。だから、今回の女性陣の反応は、いたってまともな反応と言える。

 が、面白いことに、同じ場にいた4名の男性陣の反応は、全員が「弟さんの気持ちのほうが分かる」というものだった。ちなみに、その男性陣の中には筆者も含まれる。恥を忍んで告白するが、実は筆者も、かめはめ波が出てくるのでないかと、気を練る練習をしたことがあるのだ。というか、男性読者諸君は皆、同じような経験があるのではないだろうか?

 さらに、その日の話題は広がっていった。

男性A: ドラゴンだっているよな。

男性B: いるいる。

女性A: は? いるわけない。あんな小さな翼で、あんな大きな体を支えて飛べるわけがない。

溜田: (確かに、物理的には女性の言う通りなんだが――。気持ち的には男性に同意する)

男性A: もしそうだとしても、竜ならいる。

溜田: (おいおい、“もしそうだとしても”と言うのは、論理的ではない。でも、分かる)

男性C: 仮面ライダーのベルトをしたら、変身できると本気で思っていた。

女性B: だって、あれ電池で動くんでしょ? できるわけないじゃない。

溜田: (電池で動いていたって、変身できるかもしれないでしょ。論破になっていないし――、ん?)

男性C: じゃ、ひみつのアッコちゃんのコンパクトはどうなの? 変身できると思わなかったの?

女性D: あれは、お話の中。自分がその話の中に入ったときは、変身できるような気になるの。

溜田: (えっ、それとどう違うの?)

 こんな具合だ。どうも会話の内容は、女性のほうが非常に合理的な感じがするのだが、筆者としては、男性側の主張の方がよく理解できる。そして、そんな女性もファンタジーそのものは信じているようで、ただ、その信じ方に違いがありそうなのも興味深い。

 面白かったので、翌日、編集K女史に話をしたところ、こんな言葉が返ってきた。

K女史: 私も、花の子ルンルンが「いつかはあなたの住む街にゆくかもしれません」っていうのを待ってますよ。

溜田: 現実の世界で?

K女史: 何言ってるんですか。もちろん、ファンタジーの世界で、ですよ。

溜田: (そうだよな、K女史もだよな……)

 なぜ「そうだよな」と思ったかというと、女性は「ファンタジーの世界で」と言うが、男性は「現実の世界で」起こると考えているように思うからだ。というか、そう信じているのだ。裏付けとしては、このあたりの発言から伺い知れる。

男性A: かめはめ波が出せないのは修行が足りないからだ。

溜田: (そうだ、そうだ! 亀仙人も修行に50年はかかると言っていた)

男性B: 漫画は現実に起こることを材料にしているのだ。

溜田: (さすがに、それは乱暴な理屈だろう……)

男性C: 物理学を志す者は、超能力とか、かめはめ波の原理を、一度は考えているはずだ。

溜田: (実は、筆者はこの部類に属する)

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