なぜソウルに、スタバとダンキンドーナツが密集しているのか人に話したくなるコラム(2/3 ページ)

» 2014年07月18日 08時00分 公開
[藤井薫,Business Media 誠]

スタバとダンキンドーナツが集まる理由

 スターバックスは2014年3月末時点で、世界64カ国に2万519店舗を展開し、業界でトップを走っている。同社は1996年、記念すべき海外初出店先として日本を選び、現在では1034店舗を運営。日本に遅れること3年、韓国には1999年に進出し、現在642店舗になるが、近年の急成長ぶりを見ると追い越されるのも時間の問題との見方もある。

 しかし、そんなスターバックスより韓国で成功しているのが、世界で業界2位のダンキンドーナツだ。世界最大コーヒーチェーンのトップ3といえば、米国のスターバックスとダンキンドーナツ、そして英国のコスタ・コーヒーなのだが、その上位2社がソウルを重要視していることになる。

 ちなみに、日本ではあまり馴染みのないダンキンドーナツだが、自社でコーヒーの焙煎所を持つほどコーヒーには力を入れている。コーヒーのおいしさがドーナツの売り上げに直結するため、米国と同じ仕様の焙煎所を海外で初めて韓国に建設したほどだ。

 ダンキンドーナツにとって、韓国は海外で最大規模のマーケットであり、韓国市場に賭ける意気込みはすごい。ダンキンドーナツはソウル市内に900店舗も展開している。米国を除いた国際市場での売り上げは、2013年度に1830万ドル(約18億円)を計上したが、そのおよそ40%を韓国で稼ぎだしている。

 じゃあ、なぜソウルなのか。それには、米国ブランドにとって非常に有利な社会的背景があるようだ。

 まず、韓国人の米国への憧れがものすごく強いことが挙げられる。特に若者にとって、コーヒー文化は米国のライフスタイルの象徴になっている。だから、日本と違い、韓国のスターバックスでは店員のネームタグに欧米系の名前を使っている。フレンドリーさをアピールするためだと説明しているが、より米国らしさを演出するためだろう。さらに、韓国人の間ではスタバのロゴ入りカップを持ち歩くのが、ステイタスになっている。商品であるドリンクそのもより、スタバというブランドがファッションの一部として支持されている。

(出典:DUNKIN'DONUTS)

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