インタビュー
» 2014年07月16日 06時00分 UPDATE

仕事をしたら“軽油”ができそう(後編):体長0.05ミリの生物は次に何を動かす? ミドリムシが創る「未来」 (1/5)

2020年――。ミドリムシが飛行機を飛ばすのが、当たり前になっているかもしれない。体長0.05ミリの生物がどのようにして飛行機を飛ばすのか。ミドリムシの大量培養に成功した、ユーグレナの研究者に話を聞いた。

[土肥義則,Business Media 誠]

仕事をしたら“軽油”ができそう:

 6月25日、いすゞ自動車の本社に、多くの報道陣が詰めかけていた。そこで、いすゞ自動車とバイオベンチャーのユーグレナが、「石油を1滴も使わずに、クルマを動かしたい。ミドリムシ100%のバイオディーゼル燃料を実用化させるために、共同研究を始める」と発表した。これはテレビや新聞などでも取り上げられたが、記者はもっと詳しく知りたいと思った。

 まだ見たことがない燃料を“どうやって作る”のだろう。そして、夢の燃料が完成すると“どんな世の中になる”のだろう。この2つの疑問をユーグレナで研究開発を担当している鈴木健吾さんにぶつけてみた。聞き手は、Business Media 誠編集部の土肥義則。前後編でお送りする。

 →ミドリムシがクルマを走らせる? “夢の燃料”ができる日(前編)

 →後編、本記事


土肥: ユーグレナはミドリムシの体内に含まれている油を使って、シャトルバスを走らせることに成功されました(いすゞ自動車・藤沢工場のシャトルバス)。このように書くと、読者の中には「おおっ! スゴい」と思われる人もいるかもしれませんが、実はまだまだ。ミドリムシ産の油は、軽油の中にわずか1%しか含まれていません。

 「なーんだ、たったそれだけか」と感じるかもしれませんが、それも早合点。現在、いすゞ自動車とユーグレナは共同で、ミドリムシの油を使って次世代燃料の研究をしているんですよね。それは、ガソリンスタンドで売られている「軽油」と同じモノ。軽油の分子構造と全く同じモノを研究しているそうですが、もしそれが成功すればどんな未来になると思われますか?

鈴木: シャトルバスで使われている燃料はどこで給油されているのか? それは、いすゞ自動車の敷地内にあるんですよ。この燃料を一般の人が使うとなれば、ガソリンスタンドは専用の給油機が必要になります。当然、コストがかかってきますので……。

土肥: ガソリンスタンド側から「ミドリムシの油が含まれている軽油を使いたい」という声がかかることは、難しいということですね。

鈴木: ただ、これから研究を行う次世代燃料は「軽油」と同じモノ。なので、現在ガソリンスタンドが使っている軽油用の給油機を使えることができるんですよね。

土肥: となると、ガソリンスタンドの看板は「ガソリン160円、軽油(ミドリムシ産)140円」といった表示になる?

鈴木: 私たちとしては、それが理想ですね。ただ、そうした看板がすぐに増えるとは思っていません。というのも、やはり価格の問題がある。いまの軽油価格と同じくらいにするには時間がかかるので、すぐにミドリムシ産の軽油を使う人が増えるとは思っていません。

 もちろん、「ミドリムシ産の軽油、たくさんの人に利用してもらいたいなあ」と指をくわえて待っているわけではありません。現在流通している軽油は、地下に眠っている原油を採掘して、それを精製しなければいけない。一方、ミドリムシ産の軽油を作るにあたって「地下を掘る」作業はなく、「地上で増やす」んですよ。ミドリムシ産の軽油は「環境に優しいんですよ」といった点をアピールして、少しずつ利用者が増えていけばいいなあと思っています。

yd_midori1.jpg ミドリムシについて
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