号泣県議・野々村さんは、兵庫県議会に比べたらよっぽど政治家らしい窪田順生の時事日想(1/4 ページ)

» 2014年07月15日 08時00分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]

窪田順生氏のプロフィール:

1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。


 もう10年以上前の話だが、『朝日新聞』に中途採用していただいて、年収にすると1000万円近い高給をいただけることになった。

 無邪気に喜んだ反面、なんでこんなに厚遇なのか、という疑問もあった。そこで上司と飲みに行った際、酔った勢いで「朝日の記者って、給料もらい過ぎじゃないスか?」と尋ねると、こんな答えが返ってきた。

 「僕はもらい過ぎだとは思わない。我々は権力に近いからさまざまな誘惑がある。そのような誘いにのることなく、中立な立場で政治家や官僚の不正を叩くには、それなりの収入がなくてはいけない」

 要するに、清く正しいジャーナリズムを実践するためには、記者がカネに苦労するようではいけない、というわけだ。理屈としては分からんでもないが、なんか気持ち悪いなと感じたのを覚えている。その“不快さ”の正体が分かったのは、年収1000万からドロップアウトしてからのことだった。

 ひょんなことから、河村たかし衆議院議員(現名古屋市長)と親しくなり、『この国は議員にいくら使うのか――高給優遇、特権多数にして「非常勤」の不思議』(角川SSC新書)という本を書く手伝いをすることになった。タイトルから分かるとおり、「議員特権」をテーマにしたものだ。

 みなさんからすると、河村たかしというと、「減税だがや」の名古屋の面白市長のイメージかもしれないが、国政時代の彼は「税金ムダ遣い議員を叩く議員」として、国会議員にとどまらず地方議員などからも疎まれる「問題児」として知られていた。

 20年近く国会議員をやっていると、1億近い「議員年金」が支給される。億ション並みの議員宿舎にわずか7万円で暮らせる。領収書のいらない「文書通信交通滞在費」(年間1200万円)も含めると国会議員の年収は4000万円にものぼる……言い出したらキリがないが、こういう「議員特権」について、河村たかしは国会やテレビでワーワーと批判しまくったのである。そのなかには最近、号泣会見で注目を集めた「政務調査費」(現・政務活動費)もある。

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