なぜ巨人の原監督は“プラス思考”でいられるのか臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(1/4 ページ)

» 2014年07月10日 08時00分 公開
[臼北信行,Business Media 誠]

著者プロフィール:臼北信行

日本のプロ野球や米メジャーリーグを中心としたスポーツ界の裏ネタ取材を得意とするライター。WBCや五輪、サッカーW杯など数々の国際大会での取材経験も豊富。


原点―勝ち続ける組織作り』(著・原辰徳/中央公論新社)

 なんだかんだと言われながら、やっぱり巨人は今年も強い。プロ野球を見ている多くのファンが今、そう思っているのではないか。シーズン序盤は広島カープの快進撃によって赤ヘル旋風が吹き荒れたが、いつの間にか気が付くと交流戦を制した読売巨人軍がリーグ首位の座をしっかりとキープしている。

 そんな常勝軍団の指揮官として“タクト(指揮棒)”を振るっているのが原辰徳監督。リーグ3連覇、日本一奪回の大きな期待がかかるチームを今季も強い姿勢でけん引し続けている。巨人の監督として今季で通算11シーズン目。通算在位で言えば、前人未到のV9を達成した故・川上哲治氏の14シーズンに次いで2番目の記録だ。

 第14、16代監督を歴任した昨季までの通算10シーズンで日本一3度、リーグ優勝も6度達成。しかも2009年の第2回WBCでは日本代表監督としてサムライジャパンを連覇へと導き、同年12月の世界野球連盟総会で世界最優秀監督にも選出された。原監督が「希代の名将」と評されるべき人物であるのは、まず疑いようもない。

 このコラムで以前、その原監督のもう1つの側面としてユニークな珍言を連発させる“迷将ぶり”に焦点を当てたことがあった(関連記事)。とはいえ本当はとても偉大な指揮官だ。野球にあまり興味がない人たちからは「ヘンテコな発言ばかりする愉快なオジサン」としてだけ捉えられてしまうのは筆者にとっても不本意。実像は、いまどきに珍しいほどの熱い性格の持ち主だからだ。だから今回は変化球ではなく直球勝負で「人間・原辰徳」について触れてみたい。悩み多きビジネスパーソンが“原流”の生き方を知った上で苦境を乗り越えるヒントにしてもらえれば幸いである。

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