インタビュー
» 2014年07月09日 08時00分 UPDATE

仕事をしたら“軽油”ができそう(前編):ミドリムシがクルマを走らせる? “夢の燃料”ができる日 (1/6)

いすゞ自動車とユーグレナが共同で、次世代の燃料開発を始めるという。ミドリムシの油を使ってクルマを動かすということだが、どのような研究を行うのだろうか。ユーグレナでミドリムシのことを研究している鈴木健吾さんに話をうかがった。

[土肥義則,Business Media 誠]

 2024年7月――。

 ガソリンスタンドに設置されているLED看板には「ガソリン200円、軽油180円」と表示されている。1999年5月、東京都内でのガソリン平均価格は97円だったが、その後は原油価格の高騰、円安などの影響を受け、右肩上がりで上昇。四半世紀の間に、価格は倍以上に値上がりしたのだ。

 ガソリン価格の高止まりは続いているが、ガソリンスタンドではちょっとした異変が起きている。看板をよーく見ると、「軽油(ミドリムシ)」と書かれているではないか。かつての軽油は原油から精製されていたが、この「ミドリムシ」タイプは、名前の通り「ミドリムシを原料」としたモノ。「原油から精製していたモノよりも、ミドリムシは“地球に優しい”」ということで、新時代の燃料として注目が集まっているのだ。


yd_midori1.jpg ミドリムシを手にしているいすゞ自動車の細井行社長(左)とユーグレナの出雲充社長(右)。両社はミドリムシの油を使って、次世代バイオディーゼル燃料の実用化に向けて共同研究を開始すると発表した

 いきなり10年後の世界から始まったので、「テキトーなことを書きやがって」と思われた人もいるだろうが、近い将来、ミドリムシを原料とした軽油が流通するかもしれない。「ミドリムシって、アオムシのこと? ミトコンドリアのこと?」と思われた人もいるはずなので、ここで簡単に説明する。

 ミドリムシ(学名:ユーグレナ)とは藻の一種である単細胞生物で、体長は0.1ミリ以下(関連記事)。「ということは植物なのね」と思われるかもしれないが、植物と動物の特徴を持った微生物で、両方の栄養素を作り出すことができるのだ。また、ミドリムシの体内には油が含まれているので、それを抽出して、バイオディーゼル燃料にしようという動きが始まっている。

 6月25日、いすゞ自動車の本社に、多くの報道陣が詰めかけていた。そこで、いすゞ自動車とバイオベンチャーのユーグレナが、「石油を1滴も使わずに、クルマを動かしたい。ミドリムシ100%のバイオディーゼル燃料を実用化させるために、共同研究を始める」と発表した。これはテレビや新聞などでも取り上げられたが、記者はもっと詳しく知りたいと思った。

 まだ見たことがない燃料を“どうやって作る”のだろう。そして、夢の燃料が完成すると“どんな世の中になる”のだろう。この2つの疑問をユーグレナで研究開発を担当している鈴木健吾さんにぶつけてみた。聞き手は、Business Media 誠編集部の土肥義則。前後編でお送りする。

yd_midori5.jpg ミドリムシ
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