コンビニが、何度も「おにぎり100円セール」を行うワケご一緒に“おでん”いかがですか(2/3 ページ)

» 2014年07月03日 08時00分 公開
[川乃もりや,Business Media 誠]

年中「100円セール」はできない

 「おにぎりが100円」――。

 お客さんにとっては、安いことはうれしいだろうが、店側にとってはどうなのか。セールをすれば、売上1個当たりの利益は減少する。しかし「たくさん売ればもうかるのでは?」と思っている人も多いだろう。この指摘は事実なのだが、店側の見方は少し違う。

 コンビニは「100円セール」と銘打っているものの、実際は全部の商品が対象になっているわけではない。各チェーンは「高級おにぎり」をそろえている。例えば、セブン-イレブンでは「金のシリーズ」、ローソンでは「新潟コシヒカリシリーズ」、ファミリーマートでは「魚沼産コシヒカリシリーズ」――これらの高級おにぎりは「対象外」というケースが多い。

 「100円セール」の対象になるのは、高級おにぎり以外……つまり、安いおにぎりとなる。ツナマヨ、サケ、梅といったおにぎりは、普段から100円、110円で販売されているので、「100円セール」になっても、これらの商品がよく売れる。もちろん、セールを狙ってなるべく値引き率の高いモノを買う人もいるのだが、販売実績をみると、通常時のランキングと大差はない。

 「100円セール」を実施すると、通常時に比べ、売り上げが約1.5倍になる。お店側にとっては、小さな値引きで大きな稼ぐことができるので“オイシイ”。また、セール中は、値引きがされていない高級おにぎりの売り上げもアップするのだ。

 このようにコンビニ事情を書いていると、「じゃあ、年中『100円セール』を行えば? そうすれば、もっともうかるはず」と、思われる人もいるだろう。しかし、それでは、お客さんは安く感じないだろうし、そもそも年中おにぎりを食べたいわけでもない。

 いやいや。コンビニオーナーの中には「年中『100円セール』をやりたい」と思っている人もいるかもしれないが、法律が絡んでくるので、やりたくてもやれないのだ。その法律とは「不当景品類及び不当表示防止法」で、以下のことが定められている。

第四条  事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。

一  商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの

二  商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの

 要するに、普段売った事実がない価格から値引き表示をすることはダメってことだ。

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