果たして手のひら静脈認証の効果はどれほどのものか。若林氏はその特長として「安全性」「認証精度」「受容性」の3つを挙げた。まず安全性について。静脈は生体認証の中でも偽造が困難であること。住基ネット向けとしてもここが採用の大きな決め手になった。
同じ静脈認証でも、手のひらは指や手の甲による方式と比べて静脈パターンが複雑ながらも安定している。本人と認識されない「本人拒否率」で0.01%、他人が誤認されてしまう「他人受入率」は0.00008%以下という高い精度を実現する。これが高い信頼を望むセキュリティのベースになる。
受容性については、生体認証として先行してきた指紋認証との比較が分かりやすい。指紋認証は身の回りでも比較的身近になっている方法だが、表面の(指紋の)摩耗や乾燥など体表の外的な要因を受けやすい。一方、非接触型の手のひら静脈認証であれば、体表の影響をほとんど受けないメリットがある。また非接触のため、衛生的で、かつ簡単な操作で済むため、ほとんどの人が抵抗感なく使えるという。
上の図は、富士通が示した生体認証方式の認証精度と適用分野を表したものである。静脈ではない認証技術を推進している企業などはそれぞれの位置付けについて異論があるかもしれないが、大まかなポイントを捉えるうえで理解しやすいので参考にしていただきたい。
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