一方で最近、サプリメント市場の現状に警鐘を鳴らす記事を多く見かけるようになった。
例えば、ニューヨーク・タイムズ紙は2013年12月、FDAには毎年5万件の副作用の報告があると指摘。そのほかでは、記憶障害を極端に恐れた80代の男性が、月に3000ドル(約30万円)を費やして毎日50種類のサプリを摂るよう「アンチエイジング」専門医に指導されていたが、別の医師が調べたところ、ほとんどのサプリに有効性はなかったという実例を出して、サプリの危険性を訴えるニュースもあった。
そして今、米国では奇妙な現象が起きている。規制緩和から20年を経て「FDAがある程度規制を行うべきではないか」との意見があちこちで出ているのだ。処方薬との悪い組み合わせによる健康被害や、子供や妊婦などに悪影響などが出ることも考えられるからだという。ただ、こうした情報はFDAが規制をしなくとも、きちんと情報提供や相談ができる機関の設置を企業が取り組めばクリアできるはずだ。
日米の違いはとても興味深い。国民がサプリを適切に摂れないと考えて情報と選択肢を制限してきた日本のやり方がいいのか、自己責任だが情報と選択肢は与えるという「情報に基づく選択」がいいのか――答えを出すのは難しい。個人の考え方にもよる問題だ。
ただ、世界的には日本のサプリ表示規制が厳しすぎると認識されている。先進国では最も厳しいと言われ、統一栄養補助食品連合会のイスラエルセン理事長もユタ州の会議で、厳しい規制のために「日本の消費者にはかなりの混乱が生まれている」と苦言を呈している。
消費者にとって、選択肢が増えることは望ましいことだろう。きちんとした情報を得られる環境があれば、用途によってさまざまなサプリを使ってみる権利が消費者にあってもいいはずだ。それを無理に規制するのは、グローバル化し、情報が得やすくなった現代では時代遅れなのかもしれない。
読者のみなさんの中にも病院に行って、あまりよく分からない薬を処方され、言われるがまま飲んだ経験がある人もいるのではないか。著者も最近、足の指先にしびれがあると医者に相談した際に、薬を出すと言うのでどんな薬が聞いたところ「ビタミン剤です」と言われたことがあった。単なるビタミンなら、病院で長く待たされた挙げ句に、医者で処方してもらう必要はない。サプリとして摂れるならそれに越したことはないのだ。
少なくとも、病院で薬をもらうか、サプリで手に入れるか、それくらいの選択は自分でしたいものではある。
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