1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。
少し前のコラムで、安倍首相が成長戦略のひとつとして掲げた「サプリメントの表示解禁」を消費者庁がサクッと骨抜きにしている、という内容を書いたら(関連記事)、知り合いの官僚からクレームが入った。
「あの記事は消費者庁を悪者扱いしているが、サプリの規制緩和を潰そうとしている主犯は厚労省や製薬会社という医療ムラ。むしろ、中立にやろうと“親”の厚労省と業者の間で“板挟み”になって苦しんでいる」
情報を操ってナンボの官僚の話をうのみにはできないが、構造的にはよく分かるし、うなずく部分も多い。というのも、ここのところの消費者庁の立ち回りをみると、確かに社内の派閥政治に翻弄(ほんろう)される“イケてない中間管理職”のようだからだ。
例えば今、消費者庁は有識者や業界団体とともに、「食品の新たな機能性表示に関する検討会」なんてのを開いているのだが、ここで交わされている消費者庁と有識者らの議論が見事なまでにかみ合っていない。
中でも真っ向から衝突しているのが、「身体の部位への言及」だ。安倍首相がぶちまけた「世界最先端の規制緩和」では、消費者に分かりやすい形でサプリの機能を伝えるということだったので、業界としては当然、米国のように機能がうたえるものだと思っていた。機能がうたえれば、いかがわしい宣伝文句もできなくなるわけだから、悪徳業者も自然に淘汰される。マジメな業者からすれば、願ってもない話だ。
が、消費者庁が「それはムリ」と突っぱねた。薬事法のからみで、「トクホに準じた表現」で手打ちにしましょうと持ち出したのである。
「おいおい、それじゃ規制緩和でもなんでもないじゃん」という不満がワーワーと噴出したのが5月30日の検討会。あまりにもベタな「岩盤規制」っぷりに、一体どこに落としどころをもっていくのかと注目をしていたら、消費者庁がある“アクション”を起こした。
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