現役機長に聞いた、パイロットに必要な素質とは?誠 Weekly Access Top10(2014年6月9日〜6月15日)(1/2 ページ)

» 2014年06月20日 14時25分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 「Business Media 誠」の記事アクセスランキング「誠 Weekly Access Top10」。今回は2014年6月9日から6月15日までの集計です。先週の1位は「世界から『児童ポルノ帝国』と呼ばれるニッポン」。衆議院で「児童買春・ポルノ禁止法」改正案が可決されましたが、日本ではあまり報じられていません。一方、海外メディアの反応は厳しく……詳しいことは記事をご覧ください。

 6月18日に「えっ、前の飛行機を抜いてもいいの? パイロットの知られざる世界」という記事を掲載しました。JALの現役パイロットにインタビューした記事なのですが、そこでご紹介できなかったネタを書きました。以下のコラムをご拝読ください。(注:ここまでは「です・ます調」ですが、コラムは「だ・である調」にしました)

現役機長に聞く

 世の中にはいろいろな都市伝説というか、根拠のない情報がさも事実のように語られることがある。そのひとつが「パイロットになる条件」。例えば、パイロットになるには視力がよくなければいけない。背が高くなければいけない。英語がペラペラでなければいけない――そんな話を聞いたことはないだろうか。

 そこで、5年ぶりに自社養成の採用を再開したJALに、パイロットになる条件を聞いてみた。「誤解されている人が多いのですが、細かい指定はないんですよ。4年生の大学または大学院を卒業していなければいけませんが、性別・学部の指定はありません」と語るのは、同社でボーイング777の機長を務める近藤卓さん。

 とはいっても、身長とか視力といった条件はあるのでは。「これもよく誤解されているのですが、身長制限はありません。視力についても、昔は裸眼で1.0以上なければいけませんでしたが、今では矯正視力で1.0以上あれば問題なし。体力測定もありませんし、過去に大きなケガや病気を患っていても、受験資格はあります。ただ、航空身体検査があって、その結果を受けて、合否を判断します」とのこと。

 「なーんだ、じゃあ、オレも受けてみよう」と思われた人もいるかもしれないが、そんなに甘い世界ではない。運よく採用試験に合格しても、その後は訓練、訓練また訓練。地上での実習、法律や気象などの勉強、シミュレーター訓練などを経て、ようやく副操縦士に。その間、試験に落ちたら「君はJALでパイロットになれません」と通告されることもあるとか。

 副操縦士として7〜8年ほどの“下積み”生活を送って、晴れて機長になれても、その後も訓練、訓練また訓練。そんな厳しい環境の中で、これまで約8800時間(2014年4月末現在)飛んできた近藤機長に、パイロットに必要な資質を聞いた。「各国の航空法規、空港に関する情報、飛行機のシステム、気象、地理など、さまざまな知識が必要になりますね。例えば、ロサンゼルス国際空港に到着できなければ、違う空港に到着しなければいけません。そうした想定外のことも事前に情報を入れておかなければいけません。また、異常事態が発生したときに、どういったことをしなければいけないのか。大事なことは覚えるだけでなく、実際のフライトで使えなければ意味がありません」

ボーイング777
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