和食と一緒に楽しめるビール「和膳」が売れている増税後でも(1/2 ページ)

» 2014年06月16日 16時44分 公開
[Business Media 誠]
増税後に発売されたにもかかわらず、よく売れた「和膳」

 ビール大手5社がまとめた4月のビール系飲料(ビール・発泡酒・新ジャンル)の出荷量は、前年同月と比べた減少幅が21.0%で、1992年の統計開始以来、最大の落ち込みとなった。詳しく見てみると、ビールが同14.3%減で5カ月ぶりのマイナス、発泡酒が同28.1%減で2カ月ぶりのマイナス、新ジャンルが同26.9%減で5カ月ぶりのマイナスとなった。

 なぜ、ビール系飲料の出荷量が大幅に落ち込んだのか。理由は、消費増税後の「買い控え」。消費税が3%から5%に引き上げられた1997年4月の減少幅は6.5%。今回は3月の増加幅が大きかったので、反動減も大きく出た格好だ。

 そんな厳しい状況の中、健闘している商品がある。それは、サントリー酒類が増税後に発売したビール「和膳」だ。「和食と一緒に楽しめる」をコンセプトに開発された和食専用のビールで、発売当初の一斉出荷量(発売初週末の4月12日)は、30万ケース(1ケース:大瓶20本換算)と当初計画の2倍に。4月の計画は23万ケースだったので、一斉出荷量の段階で達成した。

 発売前に行った「和膳」のモニターキャンペーンでは、こんな声があった。「最初の口当たりが柔らかく、食材のうまみがしっかりと残る。口に含んだ柔らかな甘さが続き、ワサビのピリッとした味や魚のうまみがマッチする」「料理の味が濃いモノはまろやかなうまみが加わり、薄味のモノはより素材の味が引き立って楽しめた。中でも『刺身』と『ぶりの照り焼き』との相性は抜群」と。

 「和膳」は5種類の麦芽を使った「合わせ麦芽」製法 で、うまみを引き出しているという。口当たりはやさしく、後から麦芽のうまみがしっかり感じられるのが特徴だが、開発にあたってどのような苦労があったのだろうか。商品開発を担当した藤村朋子氏は「ビールを飲んでいるのは誰なのか? を調査したところ、全体の4割が50代以上でした。

 また、その世代のライフスタイルを調べてみると、食卓が変化している。一食にかける時間が長く、家族団らんで楽しんでいる人が多い。そんなシーンに合うようなビールづくりを目指しました。香りや苦味といった特徴を強調するのではなく、バランスをとることが難しかったですね」とのこと。

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