世界一になるとはどういうことか――答えは、まだ出ていない上阪徹が探る、リクルートのリアル(1/4 ページ)

» 2014年06月13日 00時00分 公開
[上阪徹,Business Media 誠]

著者プロフィール:

上阪徹(うえさか・とおる)

 1966年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学商学部卒業後、リクルート・グループなどを経てフリーランスのライターとして独立し、雑誌や書籍などで執筆。経営、経済、金融、ベンチャー、就職などの最前線のビジネス現場から、トップランナーたちの仕事論を分かりやすく伝えるインタビュー、執筆を得意とする。取材相手は3000人を超える。

 著書に『書いて生きていく プロ文章論』『リブセンス<生きる意味> 』『成功者3000人の言葉 人生をひらく99の基本』『職業、ブックライター』『僕がグーグルで成長できた理由』など。インタビュー集にベストセラーになった『プロ論。』など。


リクルートホールディングス・経営企画室長の今村健一氏

 この20年で急激な成長を遂げたリクルート。その変化を象徴するキーワード「グローバル」「新規事業」「テクノロジー」「戦略・人材活用」「M&A」を5つのテーマに、第一線で働く現役社員に聞く。「戦略・人材活用」の前編に引き続き、後編をお届けする。

 グループ従業員約2万5000人のホールディングカンパニーで30代の執行役員がいる。そんな大胆な抜てきが当たり前のように行われているのが、今のリクルート。背景にあるのは、2007年に策定された新しい人事制度だ。この制度の策定に携わったのが、自身37歳でリクルートホールディングスの経営企画室長に抜てきされた今村健一氏である(取材は3月に行われたが、4月にもともと兼務していた人事室長専任となっている)。

 現人事制度では、上長が直属でない部下の育成プランも行う「人材開発委員会」を開催するなど、個人の成長を加速させる仕組みが形作られている。これが、若手の登用を可能にしたのである。

 大きな人事制度の変革。もちろん社内的に反発がなかったわけではない。そこに対峙(たいじ)したのが、当時は役職なしで経営企画および人事に所属していた今村氏たちだった。事業が成長し続けるためには、常にチャレンジし続けなければいけないというメッセージを、当時の柏木社長を通じて発信し続けた。また、社内で何度も説明会を開いたりもした。そしてこの制度が、若手を大胆に抜てきし始めるのだ。

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