土肥: 人は常においしいモノを求めていますよね。「この店のラーメンおいしいなあ」と思っても、「もっとおいしいラーメンが食べたい」と思う。そして、おいしいラーメン店を見つけても、さらにおいしいラーメンを食べたいと思う。日本にたくさんのラーメン屋があるのは、人間の飽きが関係している、とも言えますね。
鈴木: 人間は何の不足もない日々を送っていると、刺激がほしくなり、休みの日には非日常を味わえる趣味などに没頭しますよね。ドライブが趣味だったら、もっといいクルマがほしくなる。それはスピードが出るスポーツカーかもしれませんし、たくさんの人が乗れるワンボックスカーかもしれません。とにかく、新しい刺激を求める生き物なんですよね。
食事も同じ。これまで経験したことがない新しい味を「おいしい」と感じる。しかし、その一方でこれまでの食経験と全く違う味だと「これって本当に食べることができるの?」と警戒本能が働いてしまう。
同じ味が続くと、飽きてしまう。新しすぎる味だと、警戒されてしまう。ワガママかもしれませんが、人間というのはそういう生き物なんですよね。だから仕方がない。
土肥: 人間の飽きを科学的に解明できれば、おもしろいですよね。「あ〜、この人はこの味に飽きてきているな」ということが分かれば、企業は「じゃ、次はこういう味だな」といった感じで。味のトレンドをどんどん生み出すことができる。
鈴木: 実は、現在「人間はどういったときに飽きるのか」というテーマで、研究をしているんですよ。
土肥: ほほー。
鈴木: 食事だけに限らず、好きなゲームやアイドルでも、いずれ必ず飽きてしまう。一度世に出てしまうと、そこから消耗が始まっているんですよね。なので、「次、どうすればいいの?」というアイデアが必要になってくる。
人は同じ刺激を与えられ続けると、やがて飽きてしまう。しかし、ある刺激を与えると、脳が活性化されることが分かってきました。どんな刺激を与えれば、脳はどんな動きをするのか――そんなことを研究しているんですよね。
土肥: 興味深いですね。人の飽きが解明できると、企業は最適のタイミングで新商品を出すことができるかもしれない。その研究が進めば、また取材させてください。
鈴木: ぜひ、ぜひ。
(終わり。読後のコーヒーをどうぞ)
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