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» 2014年06月10日 08時00分 UPDATE

博報堂生活総研・吉川昌孝の「常識の変わり目」:「海外赴任」で思い浮かべるのは、どの国? どの都市? (1/2)

「昔はこうだったのに」──。これまでの常識とは違うことが常識になりつつあると感じる事象はありませんか。データで読み解くと、常識の変わり目が見えてきます。今回は「海外赴任の変わり目」を取り上げます。

[吉川昌孝(博報堂生活総研),Business Media 誠]

博報堂生活総研・吉川昌孝の「常識の変わり目」

30年以上にわたり生活者を研究し続けてきた「博報堂生活総合研究所(生活総研)」。同研究所の主席研究員である吉川昌孝氏が、さまざまなデータを独自の視点で分析し「常識の変わり目」を可視化していくコラムです。世の中の変化をつかみたいビジネスパーソンに新たなモノの見方を提供します。


著者プロフィール:吉川昌孝

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博報堂生活総合研究所主席研究員。1965年愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒。著書に『亞州未来図2010−4つのシナリオ−』(阪急コミュニケーションズ・共著)、『〜あふれる情報からアイデアを生み出す〜「ものさし」のつくり方』(日本実業出版社)などがある


 地域別、国別、都市別など、海外に居住する日本人の数を調査する、外務省の「海外在留邦人数調査統計」をご存じでしょうか。在留している国から永住を認められている「永住者」と、長期出張や転勤、就職などで3カ月以上居住している「長期滞在者」の2分類で集計されている調査リポートです。

 最新の海外在留邦人数調査統計(平成25年要約版 2012年10月1日現在)によると、「永住者」は1996年の27万1035人から、41万1859人と1.5倍に伸び、「長期滞在者」も同49万2942人から、83万7718人と約1.7倍に伸びています。短期の出張や旅行などを除く、仕事に関連する滞在が主と考えられる長期滞在者数の都市別推移から、日本のビジネスのグローバル化に関する「常識の変わり目」が見つかりました。

photo 「海外赴任の変わり目」 都市別在留邦人数の推移

 今回は、直近の長期滞在者数トップ10の都市の中から、北米(ニューヨーク、ロサンゼルス)、東アジア(上海、北京、香港)、東南アジア(バンコク、シンガポール)の3地域7都市をグラフ化しました。

 一番のエポック(常識の変わり目)は、2007年。これまでずっとトップを走ってきたニューヨークを抜いて、上海が長期滞在在留邦人数ナンバーワンの座についたことでしょう。そう言えば当時、上海駐在員事務所開設のお知らせをたくさんもらったことを思い出しました。

 21世紀に入ってからの上海の上昇カーブはひときわ目を引きます。2001年は1万109人でしたが、2年後の2003年には一気に倍以上の2万3518人になりました。この差を日数で割ってみると、この2年間は一日平均で約18人の日本人が上海に滞在し始めたことになります。上海はこの勢いのままバンコクとシンガポールをあっと言う間に抜き去り、次年の2004年には香港とロスも抜いて第2位へ浮上しました。もう上にはニューヨークしかありません。

 そして2007年、上海がトップに立ったのです。2012年には約5万7000人と6万人に迫る勢い。このように、ここまで順調に伸長してきた上海なのですが……。

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