日本は最後の“黄金郷”――黒船カジノと国産カジノの戦いが勃発窪田順生の時事日想(2/3 ページ)

» 2014年06月03日 08時00分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]

業者の目の色が変わった

 もうお分かりだろう、それが今回の「カジノ視察」である。

 この効果はてきめんで、これまで慎重な態度をとっていた業者も目の色が変わっている。例えば、安倍さんが訪問する3日前の5月27日、「リゾート・ワールド・セントーサ」の開発・運営を行うゲンティン・シンガポールは、日本に8つの完全子会社を設立したと発表した。やる気マンマンだ。

 目の色が変わったのは、外資系だけではない。この翌日、コナミも日本でのカジノ事業を目的とした子会社「コナミゲーミングジャパン」(仮)を設立すると発表したのだ。

 みなさんからすると、スポーツクラブやゲームのイメージが強いかもしれないが、実はコナミは全世界で365のカジノライセンスを取得している巨大カジノ企業。IRの運営主体としての経験はないものの、スロットマシーンの製造・販売やIRの管理システムでは世界的な実績もある。つまり、安倍さんの視察は、これまではなかなか腰が重かった「国内カジノ企業」も本気にさせたというわけだ。

コナミは日本におけるカジノ施設への投資を目的とした子会社を設立することを決定した。写真は米国・ネバタ州に完成する予定の第2工場(出典:コナミ)

 現状、日本のIR構想はシンガポールをお手本にしている。ゆえに、経験豊富な海外IRオペレーターに投資・開発をさせて、日本側のリスクを最大限抑えようという話になっているのだが、実は日本とシンガポールには決定的な違いがある。

 シンガポールはカジノの経験がまったくのゼロだったが、日本の場合、先に触れたコナミのように「カジノ企業」があり、カジノに間接的にかかわる企業も多いということだ。例えば、首相が視察をした「ワールド・セント―サ」は鹿島建設がつくり、セキュリティシステムはNECが手掛けている。つまり、こういう力を結集すれば、理論的には「国産カジノ」も実現可能なのだ。

 もし、「国産カジノ」という方向に話が転換した場合、個人的に動向を注目している人物がいる。パチスロ界の雄・ユニバーサルエンターテインメントの岡田和生会長だ。

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