「会社の仕事=オレの手柄」? SNS時代だから起きる、危険な自己顕示サカタカツミ「新しい会社のオキテ」(1/4 ページ)

» 2014年06月02日 09時40分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]

著者プロフィール:サカタカツミ

 クリエイティブディレクター。就活や転職関連のサービスをプロデュースしたり、このような連載をしていたりする関係で、そちら方面のプロフェッショナルと思われがちだが、実は事業そのものやサービス、マーケティング、コミュニケーションの仕組みなどを開発するのが本来の仕事。

 直近でプロデュースしたサイトは「CodeIQ」「MakersHub」。著書に『こんなことは誰でも知っている! 会社のオキテ』『就職のオキテ』。この連載についても、個人的に書いているブログでサブノート的なエントリーを書く予定。Twitterアカウントは@KatsumiSakata


 新しい製品やサービスがリリースされたとき、以前はまず新聞やテレビのニュースで取り上げられ、さらに遅れて雑誌などに紹介されるといったくらいしか、情報が拡散される方法はありませんでした。しかし最近では、ソーシャルメディアなどを通して、あっという間に広がっていきます。

 しかし、少し気になることが出てきました。かつては「“企業”が“新しい製品やサービス”を作った」という情報が伝わっていましたが、最近はどうも違ってきているようなのです。そう書くとピンとくる方もいるかもしれません。そう、最近は、「企業に属する“個人”が“新しい製品やサービス”を作った」という広がり方になっているケースが増えてきたのです。

 ソーシャルメディアやネットワークを通しての情報流通が増えてきたからこその現象だとは思うのですが、企業の管理職にとってみれば、かなり頭の痛い問題を産み出しそうな兆しも、現れています。新しい会社のオキテを考えるべきポイントとして、このあたりの問題について、少し触れてみましょう。

会社での取り組み、つまり“仕事の手柄”は誰のもの?

「(自分がかかわってきた)新しいサービスをリリースしました」とSNSに投稿するとします。あなたならどんな文面にしますか?

 例えばFacebookで「新しいサービスをリリースしました」と報告する投稿がウォールに流れてきた、とします。投稿の内容が世代によって大きく差が出ている、そんな気がします(単純に世代でくくってしまうのは乱暴だとは承知していますが、あくまで話を分かりやすくするためですのでご容赦ください)。

 私たち、つまり40〜50歳代の管理職世代なら、以下のような感じで投稿する人が多いです。

 「以前より弊社で開発に取り組んでいたサービスが、やっとリリースできました。皆さんに便利にお使いいただけると嬉しく思います。感想などもあわせてお聞かせください!」

 いかにも宣伝、という感じですが、私たち世代は、特に違和感は感じない気がします。この人がこのプロジェクトにどの程度かかわったか定かではありませんが、万が一、自分ですべてを手がけたサービスだとしても「弊社」が作り、リリースしたサービスだ、と書くでしょう。しかし、20代後半あたりの若手社員の投稿だと、趣が異なってきます。

 「忙しい忙しいと書いていましたが、やっとこれで解放されます。自分がやりたくて仕方なかったプロジェクト。そこからやっと納得いく、自分らしいサービスをリリースすることができるようになりました。自分の名刺代わりになるプロダクトです。ぜひ周囲に拡散してください。さー、飲みに行くぞ!」

 もうお分かりですよね。それは会社の仕事として取り組んできたものであるにもかかわらず、「すべては自分の仕事」「自分がやりました」という感じで、SNSに投稿してしまうのです。

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