感情を忘れたビジネスマンは出世しない東大生はなぜ会社で使えないのか?(2/3 ページ)

» 2014年05月22日 07時00分 公開
[関厳,Business Media 誠]

自分が感情的になれば、相手の感情を理解できる

 感情を残しておくことには、副次効果があります。ビジネスの世界は、実は感情で動いているケースが多い。

 典型的な例を出すと、上司が不機嫌な裏には家で奥さんとケンカをしたなど、感情的な原因があります。「なんか気に入らねえなあ」という感じで、非合理な理由で怒られることが少なくありません。

 論理ばかりで物事を判断しようとする人は、そういった状況を当たり前のこととして捉えることができない。これでは、ビジネスマンとして致命的です。取引先の人にも機嫌がいい、悪いは当然のようにあるので、当たり前のこととして捉えなければいけません。

 自分に感情の起伏があるなら、相手にもあるのは自然のことです。

 自分の感情を大切にすると、他人にも感情で動く仕組みがあることをよく理解できます。そうして相手への対応が上手になっていく。マイナスの感情をうまく受け流すことができるようになり、受け止め方がうまくなっていくのです。

 繰り返しますが、内に秘めた感情をなくさないでください。最近の若いビジネスマンは、合理的に仕事をしようという概念があまりにも強すぎる。

 「日本の企業と比べて、外資系はすごく合理的に判断する」
「グローバル企業で生きていくためには、論理的に冷静に振る舞わなければならない」

 そう考えている若者が少なくないですが、実際には真逆。特に日本以外のアジアのビジネスパーソンは感情的にビジネスをしています。そういった感情を理解できなければ、ビジネスにおいて良好なコミュニケーションはとれません。

 アップルの創業者スティーブ・ジョブズ氏が感情的な人だということが知られたこともあり、「リーダーには感情が大事だ」と言われるようになってきました。しかし日本では、「感情を大切にしよう」という流れはまだ限定されている気がします。

 若手ビジネスマンも感情を大切にしてください。感情の波が平坦になると、仕事の仕方も平坦になってしまい、優れた結果は生まれません。

相手の機嫌の良し悪しで対応を変えろ!

 私は普段、社員教育の一貫として、あえて感情的に理不尽な振る舞いをすることがあります。一種の職場トレーニングです。

 若い世代のなかには合理的に考えすぎる人がいるので、そういった社員には「人間は感情がある生き物」と覚えさせなければいけない。

 取引先の相手にも、機嫌の良い日、悪い日が絶対にあります。そういう日は、コミュニケーションの取り方を変える必要がある。そのためにはまず、相手の感情の違いに気付かなければいけません。

 もし私が社内で感情を抑えて対応していると、若手社員は「人間は合理性で動くもの」と間違って考えてしまいます。ですから、社内ではトレーニングの一貫として、感情の波を出すことで「人間には機嫌のいいときと悪いときがある」と教えています。

 人が感情を表すのは、決して珍しいことではありません。むしろ、当たり前のことです。仕事をする以上、こうした感情的な部分も織り込んで対応するのは当然のことです。

今回のポイント

自分の感情を大切にすれば、相手の感情を重視できるようになる


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