エナジードリンクに新風“サラリーマン向け” 「リゲイン」市場参入、狙いは?サントリー×第一三共がコラボ新商品(1/2 ページ)

» 2014年05月21日 21時00分 公開
[岩城俊介,Business Media 誠]

 24時間戦えますか──。“元気感”が得られるエナジードリンク市場が活況だ。サントリーによると、清涼飲料水のカテゴリに含まれるエナジードリンク製品は2013年318億円規模と2009年比(約31億円規模)で約10倍に急成長。2014年はより伸長した400億円規模に達すると予測されている。

 近年のエナジードリンクは海外ブランドの認知度が高く、勢力を増している。ジャストシステムが2014年4月に調査した認知度調査によると、「RedBull」(82.8%)、「MONSTERENERGY(販売:アサヒ飲料)」(47.6%)、「burn(販売:日本コカ・コーラ)」(38.7%)が3強で、特に若年層へ向けたイメージ戦略が功を奏している。一方、医薬部外品となる市場規模2000億円の“栄養ドリンク”ブランドまで目を向けると、「リポビタンD」(大正製薬)、「アリナミンV」(武田薬品工業)、「ユンケル」(佐藤製薬)、「エスカップ」(エスエス製薬)など、強い国産ブランドも多く存在する。30代〜40代としては、これらのほうがなじみあるものかもしれない。

 成長の鍵は“これまでのエナジードリンクは自分向けではない”と感じている30代〜40代の男性サラリーマンへの訴求。かつて冒頭のキャッチコピーで一世を風靡(ふうび)したあのブランドが、エナジードリンク市場に殴り込みをかける。

photo サントリーが発売するエナジードリンクの新商品「リゲイン エナジードリンク」。容量は190ml、価格は185円(税抜/税込200円)

“リゲイン”ブランドのエナジードリンク、サントリー×第一三共が共同開発

 サントリー食品インターナショナルは5月21日、“リゲイン”ブランドのエナジードリンク新商品「リゲイン エナジードリンク」を発売すると発表した。容量は190ml、価格は185円(税抜/税込200円)。自動販売機、コンビニ、スーパーマーケット・量販の各販売チャネルで、2014年7月1日に発売する。

photo リゲイン エナジードリンクを手にするサントリー食品インターナショナルの北川ブランド戦略部長(左)と第一三共ヘルスケアの岩井伸幸マーケティング部長

 リゲイン エナジードリンクは、栄養ドリンク“リゲイン”を展開する第一三共ヘルスケアとの連携で開発。若年層を中心に活況のエナジードリンク市場に対し、「でも自分向けではない」と感じていた30代〜40代のサラリーマンを主ターゲットに据えた。

 サントリーの狙いは「飲用者構成の変化」+「飲用時間帯の変化」と、それにともなう差別化。既存ブランドに「(若者向けのイメージがあるので)自分には向いていない/馴染めない」「量が多すぎる」「(漠然と)本当に効くのか」と感じている30代〜40代サラリーマン層のギャップに対し、栄養ドリンクブランドとして同年代に100%近い認知度がある“24時間戦えますか”「リゲイン」のブランドを前面に出した。

photo エナジードリンクに求めることは、20代と30〜40代でやや異なる。これまで「何か自分向けではない」と感じていた層を主なターゲットに据える

 エナジードリンクに求めていることは、年代別にやや異なる。20代は栄養ドリンクを残業中や家で体調不良の時に飲むもので、エナジードリンクを格好いい/スカッと元気になる炭酸飲料で、“自分たち向け”と思っている。対して30代〜40代は、栄養ドリンクを疲れたときに効果がある“頼れる”クスリのようなものとして、エナジードリンクにはテンションアップこそできそうだが、自分たち向けでないと思っているという調査結果が得られた。

 「成長するエナジードリンク市場において、サントリーはこの部分に着目しました。信頼のリゲインブランドを用い、“働く30代〜40代向け”特化したのが大きな差別化ポイントとなります」(サントリー食品インターナショナル 食品事業本部ブランド戦略部長の北川廣一氏)

photo リゲインエナジードリンクが着目した開発テーマ
photo 市場の約半数は30〜40代であること、夜から「朝」に飲用シーンが変わりつつあること、最後に栄養ドリンクと“併飲”する率も高い(約7割)ため、相乗効果も果たせる
photo サントリーがこの商品で販促活動を行うことで、第一三共としても栄養ドリンク市場でのブランドや製品訴求の幅をより拡充できるシナジー効果を期待する
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