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» 2014年05月21日 07時00分 UPDATE

松岡功の時事日想:農業の世界にも“カイゼン”が広まるのか トヨタの新たな試み (1/3)

トヨタ生産方式で農業も「カイゼン」――。トヨタ自動車がこのほど、自らの生産方式とITを駆使した農業支援に乗り出した。果たして農業にもカイゼンの動きが広がるか。

[松岡功,Business Media 誠]

著者プロフィール:松岡功(まつおか・いさお)

ITジャーナリストとしてビジネス誌やメディアサイトなどに執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などを経てフリーに。2003年10月より3年間、『月刊アイティセレクト』(アイティメディア発行)編集長を務める。(有)松岡編集企画 代表。

 主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。現在、ITmedia エンタープライズで「Weekly Memo」を連載中。


 「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」「ジャスト・イン・タイム」「カイゼン」といった用語で広く知られるトヨタ生産方式を、農業にも適用しようという取り組みが本格的に動き始めている。

 トヨタ自動車がこのほど、「豊作計画」と名付けた米生産農業法人向けの農業IT管理システムを開発し、愛知県と石川県の米生産農業法人9社に提供を開始した。自動車の生産管理手法を農作業に応用し、作業コストや資材費のムダを抑えることで生産性の向上を図ろうというものだ。

 豊作計画はクラウドサービスとして提供され、スマートフォンやタブレット端末から利用できる。システムの中では、地図上に登録された多数の水田において複数の作業者が効率的に作業できるように、日ごとの作業計画が自動的に作成される。

 この作業計画は、現場へ向かう個々の作業者のスマートフォンに配信され、作業者はGPSで作業すべきエリアを確認してから向かう。そして作業の開始および終了時にスマートフォンのボタンを押すことで、共有のデータベースに情報が集まり、広域に分散する農作業の進ちょくの集中管理や、作業日報および請負先へのリポートの自動作成も可能となる。

 また、農作業だけでなく、それ以降の乾燥、精米などのプロセスもカバーしており、稲品種、稲作エリア、肥料条件、天候、作業工数、乾燥条件などの作業データとそれから得られた収量、品質データを蓄積し分析することにより、一層低コストでおいしい米づくりに活用できるとしている。

 豊作計画の最大の特徴は、何と言ってもトヨタ生産方式という工業製品の管理手法を持ち込んだことにある。農作業を工程としてとらえ、田植えや収穫などの工程ごとに作業の目標時間を設定し、計画を立てる。作業者が実際に要した時間と比較し、進ちょく度合いを「見える化」する。自動車の生産ラインのように、作業者一人ひとりに時間当たりの目標を設定することもできる。もし、作業に遅れが生じたときには、管理担当者がカイゼンを促せるといった具合だ。

yd_matuoka1.jpg 豊作計画の概要
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