1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。
この週末、陸上自衛隊朝霞駐屯地の隊員食堂で昼食をいただく機会があったのだが、その美味しさとボリュームに少し驚いた。
ドーンとジャンボフランクがトッピングされたスパゲッティ、かやく御飯、メロン……なかなか豪勢じゃないかと思うかもしれないが、これくらいでなければ自衛隊のハードな訓練をこなせないという。まさしく“腹が減っては戦ができぬ”というわけだ。
そういう意味では、大阪市の中学生たちが「お腹が減って部活どころか、勉強にまで手がつかない」と訴えるのもよく分かる。ニュースでご覧になった方も多いと思うが、2014年の新学期から大阪市内にあるほぼすべての公立中学校で導入された給食の量があまりにも少な過ぎるとクレームが入っているという。
育ち盛りの中学生にとって、空腹がどれだけ辛いかは自身も経験があるので、大阪市には一刻も早く問題を解決してもらいたいと願う。ただ、その一方でこの問題は、今の日本をよく表している気もしている。
もともと、大阪市の中学生たちに「給食」はなかった。
文部科学省の調査によると、2010年度における公立中学校での「完全給食」の実施率(学校数ベース)は全国平均で82.4%だ。そのダントツのビリが大阪府(10.5%)、そしてその中でも大阪市は、2008年時点では市立中学校すべてで給食未実施という状況で、家庭弁当の持参を基本としていた。
当たり前だが、弁当には貧富の差が出る。愛情たっぷりの弁当から菓子パンまで、家庭の状況によって残酷なまでの格差がある。
今まではそれが当たり前だったが「お腹いっぱいの子どもと、おにぎり一個でお腹をグーグー鳴らしながら、授業を受ける子どもがいるのはどうなのよ」という声が上がり、段階的に選択制で給食が導入され、2014年度からついに、給食への一本化へ踏み切ったというわけだ。
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