理不尽な攻撃をやわらげる方法東大生はなぜ会社で使えないのか?(2/2 ページ)

» 2014年05月20日 08時00分 公開
[関厳,Business Media 誠]
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相手を本気でほめれば、初対面のコミュニケーションが円滑になる

 「初対面のコミュニケーションで気をつけていることは何ですか?」

 法人営業をしている人に先日、こう聞かれました。

 「出会って間もない人と会話をするうえで、大事なのは相手を尊重するスタンス。具体的なアクションとしては、相手をほめてください」

 そんな話をしたら、「それはもうやっています」と言われました。そこで、質問してみました。

 「ほめた相手が謙遜したら、どうしますか?」

 その人が無言になって考えた後、出した答えは「次の話に移る」でした。それでは、本当にほめているとは言えません。ただのお世辞で終わっている。

 大切なのは、相手を心からほめること。謙遜されたら、もうひと言、ふた言、言葉を続けられてこそ本当にほめているということになります。

 例えば法人営業に出掛けた際、「御社の社員はしっかりしていて素晴らしいですね」と言うと、「別に、普通ですよ」という答えがよく返ってきます。そう言われて以前、こんな返しをしたことがあります。

 「私は年間100社ほど回らせていただきますが、御社のように、男性社員から受付の方まで全員が、あのようなお辞儀の角度が整っていて、さらに笑顔で接してくれるところはなかなかありません」

 このようにひと言つけ加えると、相手に「本当に自分に興味を持ってくれているんだ」という印象を与えることができます。こういう会話をやり取りすることで、コミュニケーションの壁は一気になくなっていくのです。

どうすれば相手をほめることができるか?

 逆に言えば、相手を踏み込んでほめようと思ったら、まずは興味を持たなければいけません。いままで以上に観察し、事前に調べる必要も出てきます。

 相手を心からほめることを意識することで、対象への関心や興味が湧いてきて、それがほめることにつながっていく。そんな好循環が生じていくのです。

 人間は基本的に、自分に興味を持ってくれる人を好きになるものです。だから相手を心からほめることができる人は、初対面のコミュニケーションをうまくとれるのです。相手をよく観察し、心からほめてください。これは誰でも簡単にできる方法で、意外に効果があります。

 私の感覚で言うと、心からほめることができる人は10人に1人もいません。相手が謙遜したとき、次のテーマに話を持っていこうとする人には、正直、「形式的にほめているだけだろ」と感じてしまいます。それくらいの返ししかできないなら、お世辞とハッキリ分かることは言わないほうがいいのです。

今回のポイント

ほめるためには興味を抱き、観察が必要。そうして本物のコミュニケーション力が育成される。


(次回は「感情を忘れたビジネスマンは出世しない」について)

著者プロフィール:

関厳(せき・いわお)

株式会社リブ・コンサルティング 代表取締役/国際公認経営コンサルティング協議会認定/マスター・マネジメント・コンサルタント。

2002年、東京大学教育学部卒業後、大手経営コンサルティング会社に入社。トップマネージャー賞をはじめ、数多くの社内賞を獲得し、史上最年少で取締役に就任。その後、専務取締役に就任し、コンサルティング部門の責任者として活躍。

2012年、同社を退職し、株式会社リブ・コンサルティングを設立。「“100年後の世界を良くする会社”を増やす」を理念に掲げ、トップコンサルタントとして幅広い業界のコンサルティング支援に携わる。

【著書】

東大生はなぜ会社で使えないのか?』(中経出版)

Twitterアカウント:@Iwao14


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