Fさん:それと、物を褒めるじゃないですか。
溜田:(えっ? それ、嬉しくないの?)物を褒めるのはおかしいの?
Fさん:だって、私じゃなくて、物を褒めるんだって思うじゃないですか。
溜田:「良い物、持ってるね」っていうのは、男同士だと褒め言葉になるんだけどなー。「そんな良い物みつけてきて趣味がいいね」ってことだから。
実は、このインタビューには続きがある。それはこんな具合だ。
Fさん:あー、そういう意味だったんだ。でもその前に、「他に褒めるところないのかな」とか、「私自身に褒めるところがないから物を褒めてるんだ」って思うじゃないですか。
Aさん:分かる。似た話で、お弁当を作って「このプチトマトうまいね」って言われてキレたことがある。
Iさん:うちでも、お父さんがお母さんに「君が作る料理で自分が1番好きなのはマカロニサラダ」って言うんですけど、お母さんは「そこじゃないんだよな……」って(笑)。
溜田:(お父さんの気持ち、実によく分かる……)長年連れ添っても、男性は、分からないことは、ずっと分からないんだよね。料理なんかは、作った経験がないとますますそうで、何を褒めていいかが本当に分からないんだと思う。でも、今のはすごくドキッとしたね。大事にしているものが違う、っていうのが見えてきた。
要は、男性は「何か褒めないといけない。言わないと面倒なことになる」「女性にいろいろ気をつかっているということをアピールできれば気が利く男と思われる」ということは“知って”いて、あるいはそういう都市伝説を“信じて”いる。そして、マニュアルチックに、例えば髪型なら、似合っているかどうかはさておき「変わったら声をかける」し、相手の期待がどこにあるかは分からないけど「手作りの料理が出てきたらとにかく褒める」というふうになる。
問題は、それを「相手がどう思うか」まで思考が回っていないというところにありそうだ。
女性が考えているのは「ちゃんと自分のことを見ていれば、髪型が変わったことくらい、普通、分かるのではないのか」、「私が心を込めて、手間をかけて作っている料理と、そうでもないものは、普通、食べれば分かるのではないか」ということ。
この女性にとっての「普通」が、男性にとっては全然「普通」じゃないこと。つまり、見ているポイント、見るべきポイントが噛み合っていないことが根にありそうだ。
だって、こんな歌だってあるくらいだ。男性グループJ-WALK(現在はJAYWALK)が歌う『何も言えなくて・夏』。
きれいな指してたんだね 知らなかったよ、となりにいつもいたなんて 信じられないのさ……
要は、男は近くにいても女性の見るべきポイントが分かっていないということ(と、開き直っても、何にも解決しないのは分かっているけど)。
では、お互い、何を見ているんだろうか? そういえば子どもの頃はどうだったか――。会社に入ってからは、仕事ができるかどうかだけを見ている気がするな。人間性とか関係なくなっているかもな……。
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