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» 2014年05月09日 08時00分 UPDATE

上阪徹が探る、リクルートのリアル:創業は「紙」、今は「IT」――ビッグデータのカギを握る男に迫る (1/4)

リクルートの事業は「紙メディア」でスタートしたが、今や「IT企業だ」という声もある。たくさんのエンジニアを抱えるが、その中にビッグデータの開発に携わった男がいる。その男の名前は中野猛氏。現在ドイツに拠点を置いている彼をインタビューした。

[上阪徹,Business Media 誠]

著者プロフィール:

上阪徹(うえさか・とおる)

 1966年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学商学部卒業後、リクルート・グループなどを経てフリーランスのライターとして独立し、雑誌や書籍などで執筆。経営、経済、金融、ベンチャー、就職などの最前線のビジネス現場から、トップランナーたちの仕事論を分かりやすく伝えるインタビュー、執筆を得意とする。取材相手は3000人を超える。

 著書に『書いて生きていく プロ文章論』『リブセンス<生きる意味> 』『成功者3000人の言葉 人生をひらく99の基本』『職業、ブックライター』『僕がグーグルで成長できた理由』など。インタビュー集にベストセラーになった『プロ論。』など。


 取材のために資料を集めようと検索すると、出てくる出てくる。「リクルートとビッグデータ」だ。大容量のデジタルデータ、ビッグデータはそれを分析することで、幅広くビジネスに活用できるとされる旬のビジネスキーワードのひとつだが、この分野で大きな注目を集めているのが、実はリクルートである。

 確かに就職やライフイベントに関する領域から、日常消費に関する領域まで、リクルートグループが展開するWebサービスは極めて幅広い。しかも事業規模、利用者数ともに大きい。リクルートは、すでに国内有数のインターネットビジネスを展開しているのだ。

 就職活動に欠かせないものになっている『リクナビ』、不動産ポータルサイト『SUUMO』、宿・ホテル予約の『じゃらん』、結婚式場・披露宴会場予約の『ゼクシィ』など、業界トップクラスのユーザー数を誇るサイトをはじめ、実に200以上の商用商用サイトやアプリがある。

 膨大なカスタマーとクライアントの情報は、リクルートグループならではのビッグデータ活用を可能にした。カスタマーのサイト利用満足度を圧倒的に向上させることも、そのひとつ。例えば『SUUMO』には、マンション購入の検討意欲が強いカスタマーも、ちょっと見に来たというカスタマーもいる。

 また、ニーズもさまざまで、求められている情報のレベルや内容は大きく異なる。そこで行われているのが、カスタマーの検討意欲やニーズに合わせた、物件情報の出し分け(レコメンデーション)である。

 さらに、カスタマー自身の過去の閲覧物件をもとにしたレコメンデーションや、よく似た傾向のカスタマーの閲覧物件をもとにしたレコメンデーション、加えてマーケティング担当者が暗黙知として持っている仮説も融合させながら、カスタマーに対する情報提供を行っているという。

 そしてビッグデータ情報は、クライアントの商品開発や販促活動を支援するというフィールドでも活用されている。例えば、国内最大級の旅行サイト『じゃらんnet』では、観光業界の活性化のためにビッグデータが活用されている。観光業は、近年大きくスタイルが変化した。団体旅行やパック旅行から、個人旅行へのシフトだ。このため、観光業界は旅行者の行動パターンを把握しにくくなっている。旅行者の傾向をビッグデータで知ることで、効果の高い戦略へと結びつけることが可能になってきているという。

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